土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第59巻
クローズドシステムの高度浄水・排水処理プロセスにおけるトウガラシ微斑ウイルスの挙動
瀧野 博之三浦 尚之浅田 安廣秋葉 道宏
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2022 年 78 巻 7 号 p. III_1-III_10

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抄録

 本研究では,クローズドシステムの高度浄水・排水処理プロセスの各工程から試料を採水し,トウガラシ微斑ウイルス(PMMoV),ロタウイルス A(RVA),ノロウイルス GII の挙動を調査した.原水中にそれぞれ6.1,3.7 log10 copies/Lの濃度で含まれたPMMoVとRVAは,凝集沈澱処理により濃度が低下した(3.9 log10 copies/L,不検出).PMMoVは,さらにオゾンおよび活性炭処理後に濃度がそれぞれ 3.4,3.2 log10 copies/Lに低下し,ろ過処理水ではほとんど不検出となった.排水処理系統では,PMMoVは汚泥の濃縮槽上澄水や脱離水からそれぞれ4.2,4.3 log10 copies/Lの濃度で検出された.浄水および排水処理水量に基づき,着水井に返送されるPMMoV負荷量を計算した結果,原水に対する影響は0.06%にとどまることが明らかになった.凝集沈澱処理によって除去されたPMMoVの大部分は,脱水ケーキと共に系外へ排出されると考えられた.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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