人間ドック (Ningen Dock)
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一日人間ドックで食後高血糖を見逃さないための1,5-アンヒドログルシトールを用いた食後高血糖スクリーニング法
金沢 裕一
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2008 年 23 巻 3 号 p. 570-574

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抄録
目的:糖尿病,大血管症予防のため,早期食後高血糖(post prandial hyperglycemia:PPHG)のスクリーニングは極めて重要である.我々は経口ブドウ糖負荷試験(Oral glucose tolerance test:OGTT)なしに効率的にPPHGスクリーニングを行う方法(KKC法)を考案し,従来の方法と比較検討した.さらに人間ドックでこの方法により発見できるPPHGの人数推定について検討した.方法および対象:空腹時血糖(fasting plasmaglucose:FPG),ヘモグロビンAlc(HbA1c),1,5-アンヒドログルシトール(1.5-anhydroglucitol:1,5-AG)とOGTTを受けた230人の対象者について,1,5-AGの男女別カットオフ値を設定し,1,5-AGが境界域の場合にFPGと組み合わせた方法とFPG,HbA1c使用した従来の方法と比較した.次に,一日人間ドック(全国集計2006年)受診者2,708,538名を年齢別に39歳以下,40歳代,50歳代,60歳以上の4群に分けた各520,242名,832,152名,902,344名,453,800名について,一日ドックにおいて,KKC法を用いて新たに見つかる可能性のあるPPHGの人数を推定した.結果:KKC法は感度85.9%,特異度79.7%と従来の方法と比べ良好な結果を得た.また,年代ごとに,48,278名,97,927名,113,680名,63,012名のPPHGが新たに発見できることがシミュレーションの結果わかった.結論:ブドウ糖負荷試験によらずに,空腹時1回採血によって効率よく食後高血糖を拾いだす方法として1,5-AGとFPG値組み合わせ法(KKC法)は特に若い年代ほど,より有効であることが示唆された.
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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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