抄録
目的:安全で効率の良い内視鏡検査を実施するために,受診者の個別性に合わせた情報管理システムを導入したので,その運用方法と成果について報告する。方法:同意書を用いて問診を行い,検査や薬剤使用に伴う高リスク者を拾い上げ,医師指示・確認書を発生させ医師の診察・問診を行った.情報は全て情報管理システムに入力し,前処置や検査介助時の情報として活用した.検査終了後は,検査に有用な情報を情報管理システムに再度入力し,次回検査時にフィードバックした.導入後の6年間87,201件中の内視鏡検査で発生した偶発症について検討した.結果:詳細な同意書を使用することにより問診業務の標準化と効率化が図れた.問診で高リスク者を拾い上げ,医師指示・確認書を発生させ医師へ情報伝達するというチェック体制により,偶発症発生の予防に繋がった.また,情報管理システムにより,問診と内視鏡担当看護スタッフ間で情報が共有化でき,個別性に合わせた内視鏡看護が可能となった.有用な受診者情報を再入力しフィードバックすることにより,次回検査時に個別性を重視した検査の提供やリスク回避・受診者満足度を提供できる情報源と成り得た.情報管理システム導入後,重大な偶発症は認められなかった.結論:情報管理システムにより,問診や内視鏡看護業務の効率化が図れ,安全な検査を提供できようになり,クレーム対応や偶発症などのリスクマネージメントが容易となった.