2023 年 24 巻 2 号 p. 62-71
高齢ドライバーの踏切障害事故防止に向けた効果的な対策を検討するための知見を得ることを目的に,75歳以上の高年齢層のドライバーと低年齢層のドライバーに聞き取り調査を行った.調査では自動車運転中に踏切内に閉じ込められる映像を用い,閉じ込められたあとの行動やその行動の理由を聞き取った.調査の結果,踏切に閉じ込められた状況を正しく認識できた高年齢層は低年齢層と同程度の割合で安全上推奨される対処行動を採ることができた.また,その状況を正しく認識できなかった高年齢層に状況を説明しても,適切でない行動を採ることが多かった.つまり,適切な対処行動を採れるかどうかは踏切に閉じ込められた直後の状況認識によって異なっていた.また,対処行動を採れなかったドライバーには安全上推奨される行動を知らせることが有効であることが示唆された.そのため,関係各所と連携し啓発活動を行った.