2023 年 24 巻 2 号 p. 72-80
足腰の痛みの緩和や怪我の予防,日常生活の運動機能の補助などに用いられる装具の一つとしてサポーターがある.プラスチックフレームなどを備えた硬性装具の効果については多くの先行研究があるが,布製のサポーターなどの軟性装具の装着効果の検証は,使用者の主観的な評価に留まっている場合が多い.本研究では,軟性装具である「3次元テーピング構造」の膝サポーターについて,より客観的な効果評価を行うことを目標に,装着者の動作解析,筋電計・筋硬度計による筋疲労の計測を行い,長時間歩行時の歩容への効果を検討した.その結果,当該サポーターを装着することにより,トゥクリアランスの繰り返し安定性の向上や,筋疲労の低減,膝関節の回旋の抑制による歩容の安定化などの傾向が見出され,歩行者固有の歩容を崩さずに安定化させる補助効果が認められた.