西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
膝窩部に発生せる巨大なゴム腫の1例
山本 真松崎 昭夫
著者情報
ジャーナル 認証あり

1969 年 31 巻 4 号 p. 393-397

詳細
抄録

18才未婚女性。左膝窩部に腫瘤を生ずるが自覚症はほとんどない。腫瘤は弾性軟で小児手拳大,内部に腔を有するが,関節腔との交通はない。膝関節には無痛性の滑膜炎を認める。本人の血清および関節液の梅毒反応陽性。しかしそれ以外に梅毒症状を認めない。母親と弟の血清梅毒反応陽性。腫瘤は膝窩部で大腿二頭筋から出ており,結合織被膜を有し,周囲組織と強く癒着している。大きさは小児手拳大1個。それより小さなもの2個で大腿骨外果後上面にのつたような形をなしている。腫瘤内容は淡黄白色でゴム様弾性を有している。病理診断はゴム腫であつた。内容は摘出可能。創は一期癒合。術後1年半の現在無症状であるが,血清梅毒反応は陽性である。骨格筋内ゴム腫はきわめてまれなものであるが,先天性梅毒によると思われる巨大なゴム腫の1例を経験したので報告した。

著者関連情報
© 1969 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top