西日本皮膚科
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症例
重症熱傷の1剖検例
笹岡 和夫池田 敏明
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1969 年 31 巻 4 号 p. 386-392

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抄録
24才男。本学水産学部助手。実習準備中石油カンに引火爆発し,体表の67%に2∼4度熱傷をうけただちに当科に入院し,補液を開始した。第1病日はHt値75%,心悸亢進,呼吸困難,乏尿などショック症状が出現したが迅速な補液の結果ショックを脱し,その後経過良好で,細菌感染があるのみで5日目には正常に近い状態にまでなつたが,6日目突然高熱,呼吸困難,乏尿,血圧下降をきたし死亡した。剖検所見で主な変化は腎と肺で,腎は近位尿細管の空胞変性を認め,肺では出血と浮腫が顕著であつた。そのほか副腎には束状帯細胞の解離と空胞変性,出血がみられ食道および大腸粘膜にびらんが認められた。直接死因は両肺の強度の出血と浮腫によるものと推定された。
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© 1969 日本皮膚科学会西部支部
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