西日本皮膚科
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研究
皮膚疾患,とくに薬疹における血中セロトニン値の動態
竹内 信親
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1970 年 32 巻 1 号 p. 15-29

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抄録

健康人112例,各種皮膚疾患患者449例の血中セロトニン値,とくに薬疹患者の誘発テスト時における血中セロトニン値およびヒスタミン値の動態について,セロトニンはUdenfriend,ヒスタミンはShoreの方法に準じて測定し,つぎのような結果をえた。
1.健康人の血中セロトニン値は0.077±0.02μg/mlであり,病的異常値を認めたものは,皮膚癌,膿疱性乾癬,尋常天疱瘡,水疱性類天疱瘡であつた。
2.薬瘍患者の誘発テストにおいては,血中セロトニン値は内服30分~90分後の間に,すなわち発疹出現前に上昇,発疹出現時にはすでにおおむね正常範囲内に復していた。
3.ヒスタミンは薬疹出現時に上昇し,ヒスタミンの血中への遊離はセロトニンより時間的おくれが認められた。
4.前処置として副腎皮質ホルモン剤を投与して,誘発テストを行なつた場合には,血中セロトニン値の上昇および薬疹の発生は認められず,副腎皮質ホルモン剤により,セロトニンの血中への遊離は抑制されたものと思われる。

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© 1970 日本皮膚科学会西部支部
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