西日本皮膚科
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症例
面皰母斑の1例
利谷 昭治
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1970 年 32 巻 5 号 p. 405-408

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抄録

21才女性の1例を報告した。頭頂部より右側頭,右耳介上,耳介前部に列序性に配列した虫蝕状の瘢痕様面皰局面で,多くのものに角栓形成がある。組織学的には多数の大小,深浅様々な表皮の陥入があり,その毛包様の陥入は漏斗状ないし,乳頭状で,なかにエオジンに淡紅染する角化様物質が栓塞している。真皮にはこの陥入の断面が多数嚢腫状断面としてみられる。面皰母斑は限局性母斑の1つで,疣状ないし列序性に配列し,多くは一側性である。なかに角栓を入れて面皰に似る。本症は毛包の発育異常によるもので,第一次上皮胚芽の発育異常と考えられ,これに表面表皮の発生異常が加わつて,萎縮もみられるので,減形成性母斑と考えている人もある。脂腺はほとんどみられず,連続標本で1個,拡張毛包に連結した皮脂腺を1個みた。本症の治療には切除を行なつた。

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© 1970 日本皮膚科学会西部支部
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