西日本皮膚科
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ラウンドテーブル ディスカッション—炎症における細胞反応とその役割—
アレルギー反応の局所における好酸球,好塩基球の動き
吉田 彦太郎武 誠
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1974 年 36 巻 4 号 p. 496-502

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抄録

種々のアレルギー反応における抗原およびchemical mediators, histamine liberatorなどを用いたskin window法により炎症巣における好酸球, 好塩基球の動きを観察し, 下記の所見をえた。アトピー型即時反応では早期より多数の好酸球増多を認め, ツベルクリン型遅延反応では好酸球は24時間後より少数出現し, 48時間後増加した。好塩基球は即時反応ではほとんどみられなかつたが, 遅延反応では24~48時間後かなり多数出現した。一方DNCB接触アレルギーでは初期にいちじるしい好酸球増多を示し, 48時間後減少, 好塩基球は24時間後より出現し, 48時間後はさらに増加した。また多くのchemical mediatorsを用いたskin windowではeosinophiliaもbasophiliaも認められなかつたが, compound 48/80を用いた場合にはいちじるしい好酸球増多がみられた。なおhistamineのこれら細胞にたいするchemotactic activityの有無は明らかではないが, かりにあつたとしてもきわめて微弱であろう以上の結果から, アレルギー反応におけるeosinophiliaはヒスタミン遊離によつて生じ, 遅延型アレルギーにみられるbasophiliaは涸渇したmast cellを補う目的で血中から動員された好塩基球によるのであろうと考えられた。また好酸球は過量の遊離ヒスタミンを中和し, 抗原抗体複合物を貪食して局所を清掃する機能を発揮し, 好塩基球も炎症治癒に必要なhistamineを遊離し, たがいに相反する機能を有する両者が密接な関係を保ちながら生体防禦という共通目的に向かつて働いているのであろうと推測された。

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© 1974 日本皮膚科学会西部支部
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