1974 年 36 巻 4 号 p. 488-495
慢性炎症巣につねに浸潤するリンパ球の役割については, ほとんど解つていない。以前からtransformationとtrephocyteとしての役割が提唱されているが, 決定的ではない。最近免疫応答におけるeffeetor cellとして, graft reject reaction, GVHRの場で, 直接標的細胞に鉤着して細胞障害性に働いていることが分つた。またin vitroの研究から, 多くのchelnical mediatorを遊離することが知られている。そしてこれが安易にin vivoの現象の説明に持込まれているが, 実際の炎症の場に存在し, 活性化され, 反応に参加しているという証明はない。われわれは, ツベルクリン反応の場に, macrophage遊走活性と数種のproteaseを見出した。Passive transferの現象からリンパ球そのもののproteaseに注目し, 数種の類似のpassive transferを見出した。そのうちの中性およびアルカリ性proteaseが起炎効果をもつことがわかつたので, これらを中心として, 炎症の場におけるリンパ球の役割の解明を試みている。これは生体の防衛反応の全体の構成の理解に必須のものであると考えている。