西日本皮膚科
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研究
化粧品皮膚障害の治療
早川 律子上田 宏井沢 洋平
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1974 年 36 巻 4 号 p. 539-545

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抄録

われわれがおこなつている美容外来を訪れる化粧品皮膚障害の患者は年々, 女子顔面黒皮症など難治のものの占める割合が増加し, 化粧品皮膚障害の治療の難かしさを痛切に感じる。女性の化粧にたいする執念は非常に強いもので, 単に化粧品の禁止を告げるのみでは成果をあげることは難かしく, 患者の化粧をしたいという願望をある程度満足させながら, 原因化粧品を完全に排除する必要がある。そこでわれわれは化粧品皮膚障害の治療方法として, 化粧品の禁止とともに皮膚症状に応じて化粧品に代る物として, 副腎皮質ホルモン含有軟膏またはクリーム→副腎皮質ホルモン含有ローション→パッチテスト陰性軟膏基剤または低香料化粧品→原因以外の一般化粧品(パッチテスト陰性)という一連の外用システムを考え, 30名の外来患者に応用し, 炎症症状にたいしては90%, 色素沈着にたいしては66.7%の有効例をみた。化粧品皮膚炎の治療はパッチテスト陽性化粧品の発見のみではなく, その完全なる排除からはじまるものである。

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© 1974 日本皮膚科学会西部支部
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