西日本皮膚科
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症例
晩発性皮膚ポルフィリン症
―症候性ポルフィリン症―
野中 薫雄広渡 徳治本多 哲三笹岡 和夫久保 容二郎
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ジャーナル 認証あり

1976 年 38 巻 5 号 p. 756-762

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抄録
晩発性皮膚ポルフィリン症2例を報告した。症例1は61才の男子で, アルコール大量摂取歴があり, 糖尿病を合併している。1年前より手背に小水疱および糜爛局面を生じ, 現在, 露出部に色素沈着をみ, 小水疱, 小瘢痕を混在している。尿中UP3130.6μg/l, CP677.4μg/lと増加していたが, 血球中CP, PPは正常であつた。肝機能では軽度のS-GOT, S-GPTの上昇があつた。皮膚病理組織学的には真皮上層の小血管周囲に軽度のPAS陽性物質の沈着をみる。症例2は72才の男子で, 約50年間アルコールの大量摂取歴があり, 4~5年前より肝障害を指摘された。1年前より手背に小水疱形成, 糜爛を生じ, 受診時, 露出部の色素沈着, 顔面, 手背に小瘢痕, 小水疱が散在, 手関節背面では皮膚肥厚があつた。肝機能ではS-GOT, S-GPTの上昇があり, 尿中UP1919.7μg/l, CP447.9μg/lと上昇していた。病理組織学的には症例1と同様の変化を示した。
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© 1976 日本皮膚科学会西部支部
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