西日本皮膚科
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シンポジウム―検査法の皮膚科的意義―
クリオプロテインの臨床的意義
高橋 勇穐山 富雄笹岡 和夫山浦 英明
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1977 年 39 巻 4 号 p. 529-536

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抄録
寒冷により沈澱し, 加温により再溶解する血清あるいは血漿中の蛋白, すなわちクリオプロテインには血清中のγ-globulinより構成されるクリオグロブリン(CG)とフィブリノーゲンよりなるクリオフィブリノーゲンの2種類がある。そのいずれも寒冷刺激による種々の臨床症状を呈し, その大部分は皮膚症状すなわち紫斑, 潰瘍, 壊死, 蕁麻疹, レイノー症状を発現することより, 皮膚科学的立場より診断上重要な意味を有する。CGは免疫化学, 生物学的見地より多くの検索がなされ, 物理的寒冷沈降体および免疫複合体として臨床症状の発現に病態論的意義を有する。一方CFは寒冷沈降による潰瘍症状よりも, むしろフィブリノーゲンの血管内変性の結果として生じ, 血栓症あるいは出血症状の発現に生物学的意義があることが推測されている。しかしこの両寒冷沈降蛋白の生成機序, 寒冷沈降機序は不明な点が多く, 今後の検索がまたれる。
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© 1977 日本皮膚科学会西部支部
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