西日本皮膚科
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39 巻, 4 号
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図説
綜説
シンポジウム―検査法の皮膚科的意義―
  • 旭 正一, 上田 説子, 倉員 正俊, 河野 剣治
    1977 年 39 巻 4 号 p. 500-506
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    第1部: 蛍光抗体法の染色手技を実際の操作の手順にしたがつて解説し, よい結果を得るために最少限守るべき条件や誤りやすいポイントについてのべた。第2部: 天疱瘡, 水疱性類天疱瘡, 疱疹状皮膚炎にみられる自己抗体について, 蛍光抗体法による検出法の手技をのべ, またその測定結果の診断的意義にかんして, 自験例などを中心に考察を加えた。
  • ―とくにSLE,梅毒について―
    丸田 宏幸, 亀山 明, 井上 和彦
    1977 年 39 巻 4 号 p. 507-514
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    1) 20例のSLE患者皮膚におけるdermoepidermal junction部のγグロブリン沈着は皮疹部で82%, 無疹部で58%に陽性所見をえた。3例においては表皮細胞核のみが陽性をしめした。この検査法はSLEにだけ特異的であるわけではないが, 診断的価値は高い。
    2) 抗核抗体価の測定はSLEの診断上きわめて有意義である。とくに160倍以上の高い抗体価をしめす場合さらに確率は高くなる。しかし, SLEの病勢との間には一定の関連はみられなかつた。
    3) パターンについてはSLEの診断および病勢判断の材料にするにはまだ多くの問題が残つている。
    4) FTA-ABS抗体価を測定したが, 本検査法は梅毒の早期から特異的かつ鋭敏であるが, 治療効果の判定や治癒判定には不向きであることを再確認した。
  • 緒方 明詔, 天野 冨紀子, 武藤 公一郎
    1977 年 39 巻 4 号 p. 515-520
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    Gifford法をやや改変した方法を用いて, 諸種皮膚疾患を中心にNBTテストを施行した。本法は諸種の点で他法より優れた方法と思われる。細菌感染症, ウイルス感染症, 深在性真菌感染症, 中毒疹においてNBT値は著明な高値, 水疱性類天疱瘡, 尋常天疱瘡, 湿疹皮膚炎群, 掌蹠膿疱症において軽度高値, 紅斑性狼瘡, 結節性紅斑などでは低値を示した。またコルチコイド投与では低値を示し, 掌蹠膿疱症において口蓋扁桃刺激による誘発テスト前後の動きが健常対照者とことなることなどの興味ある結果を得た。
  • 松浦 裕
    1977 年 39 巻 4 号 p. 521-528
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    NBTテストの皮膚科検査法としての意義を検討する目的で, 健康人を含むのべ358例の皮膚疾患患者にたいしてParkの変法を実施し, 未治療群と治療経過中群のNBT値について比較した。また一部疾患にかんしてはモノレイヤー法を用いて, Park法との値との差にかんして検討を試みた。膿皮症, 炎症性角化症の一部, 真菌性皮膚疾患などで高値を示すものが多く, SLEをはじめとする膠原病や悪性腫瘍などで正常より低値を示すようであつたが, データにバラツキが多く各疾患にかんして統一的な見解を示すには至らなかつた。また発熱, 末梢白血球数, 薬剤投与などとNBTの変動との関係にかんして経過を追つて観察した。限局性の軽症の細菌性皮膚疾患では本法の診断的価値は乏しいと考えられるが, 経過中のNBT値の変動は病勢の悪化や, 二次感染を知る手掛りとなり, 十分価値ある簡便な検査法であると考えた。
  • 高橋 勇, 穐山 富雄, 笹岡 和夫, 山浦 英明
    1977 年 39 巻 4 号 p. 529-536
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    寒冷により沈澱し, 加温により再溶解する血清あるいは血漿中の蛋白, すなわちクリオプロテインには血清中のγ-globulinより構成されるクリオグロブリン(CG)とフィブリノーゲンよりなるクリオフィブリノーゲンの2種類がある。そのいずれも寒冷刺激による種々の臨床症状を呈し, その大部分は皮膚症状すなわち紫斑, 潰瘍, 壊死, 蕁麻疹, レイノー症状を発現することより, 皮膚科学的立場より診断上重要な意味を有する。CGは免疫化学, 生物学的見地より多くの検索がなされ, 物理的寒冷沈降体および免疫複合体として臨床症状の発現に病態論的意義を有する。一方CFは寒冷沈降による潰瘍症状よりも, むしろフィブリノーゲンの血管内変性の結果として生じ, 血栓症あるいは出血症状の発現に生物学的意義があることが推測されている。しかしこの両寒冷沈降蛋白の生成機序, 寒冷沈降機序は不明な点が多く, 今後の検索がまたれる。
  • 西山 茂夫, 新井 春枝, 島田 義昌, 下重 孝子
    1977 年 39 巻 4 号 p. 537-539
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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  • ―クリオグロブリンの定量,沈降性,抗補体作用の検討―
    北野 允基, 北浦 弘幸, 稲田 修一, 山本 昇壮, 地土井 襄璽, 矢村 卓三
    1977 年 39 巻 4 号 p. 540-545
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    皮膚壊死を主訴として来診した51才男子, 肝硬変が疑われる39才男子に比較的多量のクリオグロブリンを検出した。クリオグロブリン量は前者で1,200mg/dlλ型のL-鎖をもつ単クローン性のIgGよりなり, 後者はIgG 148mg/dl, IgM 6.6mg/dlをもつ混合型クリオグロブリンであつた。血清の粘稠度は混合型では対照との間に差をみず, 骨髄腫血清でも12℃までは正常であつたが, 12℃以下では粘度計内でゲル化したため測定できなかつた。燐酸緩衝液を用いて, 緩衝液のクリオグロブリンの沈降性にたいするpH, モル濃度の影響を4℃において検討した。沈降性は酸性側に強く, pHでは6.1~6.5の間にピークをみた。モル濃度では1モルでもなお強い沈降性をみた。感作ヒツジ赤血球とモルモット補体との間の溶血反応がGVB++に溶解したクリオグロブリンによりどの程度の抑制を受けるか検討した。活性は両クリオグロブリンに存在し, 同程度の強さを示した。
  • 北郷 修
    1977 年 39 巻 4 号 p. 546-551
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    Kveim反応はサルコイドージスにもつとも特異的な反応と考えられているが, Kveim test suspensionがよい場合はたしかにサルコイドージスに特異的であるが, Kveim test suspensionの活性因子がなんであるか不明である今日ではどのようなKveim test suspensionがよいのか多数例に実際に使用してみるより他に判定のしようがない。Kveim反応の本態も不明であるがgranulomatous hypersensitivityに属する反応ではないかと考えられる。Kveim反応は使用する抗原のlotによつて特異性や陽性率が非常にことなる。
症例
  • 島野 皓三, 徳丸 実
    1977 年 39 巻 4 号 p. 552-556
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    われわれは昭和50年1月から同51年12月までの2年間に顔面と四肢末端などに対側性に丘疹を初発した患者を44例観察し, うち29例ではGOT, GPTならびにHBAgの検査を施行した。この3者を参考とし, 3者とも異常の7例とそれに近い1例をGianotti病, 3者とも異常なしの10例とそれに近い2例をGianotti症候群とした。残り9例は検査不足のため診断保留になつた。Gianotti病およびGianotti症候群両者の初発疹は比較的単調な丘疹で相互にことなるところはほとんどなかつた。ただGianotti病では顔や四肢末端のほか, 躯幹にも発疹する傾向がGianotti症候群よりもより強いように思われた。
  • 中島 静香, 箭内 祥子, 前田 健, 中沢 朗子, 加藤 俊子, 平賀 京子
    1977 年 39 巻 4 号 p. 557-566
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    皮膚筋炎の7例を報告した。症例1: 52才女子, 典型的な皮膚・筋症状で発病しステロイド, エンドキサン, 金療法を試みた。症例2: 59才男子, 著明な筋力低下と体重減少をきたしたが, ステロイド, ATP製剤などにて軽快した。症例3: 65才男子, 乾癬様皮疹を合併し, 膵頭部癌で死亡した。症例4: 14才女子, ASLO高値を呈し, テトラサイクリンと非ステロイド系消炎剤が著効をしめした。症例5: 34才女子, 子宮筋腫と卵巣嚢腫の手術後1ヵ月後に発病し, 腺癌の腹腔転移で経過1年半で死亡した。症例6: 51才女子, 高血圧による右心不全と肺水腫を合併したが非ステロイド系消炎剤, ATP製剤などで軽快した。症例7: 73才男子, 発病6ヵ月後に原因不明の汎腹膜炎で死亡した。剖検で胃癌, 直腸悪性ポリープなどが明らかにされた。
  • 伊勢 信子, 新井 春枝
    1977 年 39 巻 4 号 p. 567-573
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
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    52~53年前, アジア丸を1ヵ月間内服し, 約45年後に四肢末端に典型的な角質増殖性病変を呈してきた73才女子例を報告した。内臓悪性腫瘍はない。採取した14ヵ所の病変の病理組織像と病変の組織砒素含量について検討した。扁平上皮癌, ボーエン病様変化, 砒素角化症の三様の像があり, 手背は悪性の所見を示すものが多かつた。空胞化細胞は5ヵ所でみられた。4ヵ所のボーエン病様組織のうち3ヵ所で胞巣構造がみられた。アミロイド沈着が14ヵ所中3ヵ所でみられた。臨床上の角質増殖と組織学的悪性度は反比例する印象をうけた。原子吸光分光分析装置を用いて皮膚組織片, 血液, 尿の砒素量を検索したが, いずれも正常範囲内と考えられた。
  • 福田 英三, 武石 正昭
    1977 年 39 巻 4 号 p. 574-577
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    60才女性の左腋にみられた迷入乳腺由来と考えられる腺癌の1例を報告し, あわせて乳腺の正常発生, 副乳および迷入乳腺についてその概略を記載した。
  • 田中 雅祐, 重見 文雄, 藤田 知道, 安里 哲時
    1977 年 39 巻 4 号 p. 578-581
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    3例のdiabetic scleredemaについて検討した。症例は51才女子, 42才男子, 45才女子で, 3症例とも肥満体で, 中等度ないし高度の糖尿病を合併, 項部から背上部の皮膚がいちじるしく肥厚していた。同部の生検では真皮膠原線維のいちじるしい増加が認められた。膠原線維が脂肪織をとり囲むように混在していたことから, 皮下脂肪織が新生した膠原線維によつて置換されるものと推測した。
研究
  • ―ヘマトポルフィリン塩酸塩による実験的慢性皮膚病変―
    本多 哲三
    1977 年 39 巻 4 号 p. 582-592
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    Hematoporphyrin (HP) を注射し, 日光照射すると光毒反応を起こすことはよく知られている。今回著者はHP注射後日光照射することを反復くり返し, 慢性皮膚変化を起こすことを試みた。対照群ではほとんど変化を生じなかつたが, 実験群では臨床的に紅斑, 浮腫, 糜爛, 肥厚, 瘢痕化を生じ, 組織学的に過角化, 表皮の肥厚, 真皮乳頭層および乳頭下層の血管拡張, 充血, 細胞浸潤, 膠原線維の膨化, 変性, 結合織増生の所見をえた。この結果よりHP添加と日光照射にて真皮の炎症反応をくり返すと膠原線維の変性が起こり, このことからヒトポルフィリン症の皮膚病変においても, 膠原線維の変性が臨床的にポルフィリン症の慢性皮膚病変の根底にあつて, たとえばporphyria cutanea tardaなどの場合の皮膚脆弱性の発現に影響を与えるのではないかと推測した。膠原線維, 血管壁のPAS染色性の増強はみられたが, 明らかな血管周囲性のPAS陽性物質の発現は本実験においては認められなかつた。
  • ―進行性指掌角皮症における手掌の水素イオン濃度および皮表脂質の分析―
    小林 敏教
    1977 年 39 巻 4 号 p. 593-599
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    右利きの女性で, 病巣が指腹のみに限局し, 手掌に病変がおよんでいない進行性指掌角皮症38例, および対照として正常人右利き女性20例, 同男性21例につき, 手掌部の拇指球部, 中指球部, 小指球部における水素イオン濃度を測定, さらに本症群と対照女性群の手掌皮表脂質を採取し分析した結果, つぎのような成績をえた。
    1) 本症群は左右手掌とも, 拇指球部, 中指球部でpH値がアルカリ傾に向つて高く, 対照群との間に有意の差を認めた。
    2) 薄層クロマトグラフィーによる分析では, 本症群は対照群に比較して, トリグリセライドが高く, 遊離脂肪酸が低くなつており, トリグリセライドの分解遅延の傾向がうかがえた。
    3) ガスクロマトグラフィーによる分析では, C16-0は本症群および対照群とも, もつとも高く, 両者の間に差はみられなかつた。C14-0は本症群が高く, したがつて, C14-0/C16-0は本症群が高値を示した。C18-0/C16-0およびC18-0/C18-1比では両者の間に差がみられなかつた。以上の結果から, 手指掌の発汗異常にもとづく, 皮表脂質の性状変化が, 本症発症となんらかの関連があるものと考えられた。
  • 平山 芳, 二木 昇平, 辻本 恵子, 安達 一彦, 市沢 碩
    1977 年 39 巻 4 号 p. 600-604
    発行日: 1977/08/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    前回の報告でbullous impetigoとstaphylococcal toxic epidermal necrolysis(STEN) はexfoliatinを産生する同じ性状の黄色ブ菌の感染によつて発症するがその発症機序をことにし, bullous impetigoはその菌が皮膚に直接感染し, STENは同一性状の菌の感染によりtoxic-allergicな機序から発症するとかんがえられることを発表した。今回は発症時および軽快1ヵ月後の血清蛋白, 免疫グロブリンを検討し, 幼児の感染症に予想されるようなガンマグロブリン, 免疫グロブリンの低下はみとめられず, 薬剤性TENにみられるLE細胞様細胞はSTENにはみとめられず, 発症前後のツ反応の検討では, bullous impetigoはその結果がまちまちであるのにSTENでは発症時に大部分が陰性であり, 一部以前陽性であつたものが発症時陰性, 軽快1ヵ月後にふたたび陽性になり, これはSTEN発症時に細胞免疫が低下したためか, ブ菌の感染によつて組織が変性をきたしツ反応が一時的に陰性化したのか不明であり, 今後さらに症例をまし, ツ反応以外の検査を併行して検討することが必要であろう。
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