掌蹠膿疱症の部位的特徴と関連して汗の主要成分である塩化ナトリウムが膿疱発現にどのような意義を有するかを知るために本症の膿疱組織内ナトリウムの局在を不溶性のアンチモン酸ナトリウムの沈澱として光顕的に観察するとともに, X線微小部検出装置を用いて局所の高いナトリウムの感応を得た。また原子吸光法により膿疱内ナトリウム値を測定し, 平均濃度918.1mg/dlが得られた。モルモットおよびヒト皮内に各種濃度の塩化ナトリウム溶液を注入した場合, 組織学的に高濃度溶液注入部で表皮内膿疱の形成が認められた。以上より, 本症における膿疱発現にたいして塩化ナトリウムの関与, とくにその濃度上昇の重要性が示唆された。