西日本皮膚科
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研究
Fluocinolone Acetonide含有 Tape (K-FA)外用の全身への影響と臨床効果
—K-FAの副腎皮質機能抑制を中心に—
武田 克之重見 文雄藤田 知道高橋 収宇都宮 卓二近藤 厚樹
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1978 年 40 巻 5 号 p. 916-923

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抄録

1) アトピー皮膚炎(20才女子)例および汎発性乾癬(22才女子)例に, K-FA 1,250cm2/day (fluocinolone acetonide 10mg)を7日間, 汎発性乾癬36才, 47才女子例にK-FA 900mg/day (fluocinolone acetonide 7.5mg)を10日連日貼布し, その前後を含めて10∼14日間, 血漿コーチゾル値, 尿中17-OHCS, 17-KSの変動を追求した。
2) K-FA治療における血漿コーチゾル値および尿中17-OHCS値には, 副腎皮質機能抑制を示唆する明らかな低下はみられなかつた。
3) Itching purpuraの53才女子例に対照として施行したFlucort cream 20g/day (fluocinolone acetonide 5mg)によるODTでは, 外用中の血漿コーチゾル値が外用前の1/2以下に低下し, 外用中止後の回復が遅れ, 尿中17-OHCSの減少が目立つた。
4) アトピー皮膚炎(20才女子)例に対照として施行したDrenison tape 1,250cm2 (fludroxycortide 5mg) 7日連用の場合はK-FA 1,250cm2 (fluocinolone acetonide 10mg)と比較し血漿コーチゾル値の低下はK-FAがやや大であつたが, 外用終了後の外用前値への復元はDrenison tapeがやや遅れた。なおK-FA連用の治療中の皮疹効果はDrenison tape連用よりやや優れていた。
以上の結果からfluocinolone acetonide含有のK-FA貼布の臨床効果はすぐれ, 経皮吸収による副腎皮質機能抑制はきわめて軽く, 新しいコルチコステロイド外用療法として奨用されてよい。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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