西日本皮膚科
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研究
Phenyl 11-Iodo-10-Undecynoate外用による陰股部白癬の治験およびそのTrichophyton rubrumにたいする作用機作の電顕的検討
麻上 千鳥西山 和光内平 信子藤田 英輔
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1980 年 42 巻 2 号 p. 269-275

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抄録

デルマシドの抗白癬菌作用を検討するため, 1) in vivoの実験として陰股部白癬落屑中のTrichophyton rubrumがデルマシド外用によつて示す経日的変化を走査電顕および透過電顕的に観察した。透過電顕的には, デルマシド塗布3日および5日後には, 細胞壁で膨化, 一部に破壊および溶解などの所見が, また細胞質内では遊離リボゾームの減少, dense bodyや空胞の出現, 糸粒体のcristeの消失や凝集化が認められた。2) In vitroの実験として, phenyl 11-iodo-10-undecynoate 50γ/ml添加培地上のT. rubrumを走査電顕的に, phenyl 11-iodo-10-undecynoate 5γ/mlおよび 50γ/ml添加液中のT. rubrumを透過電顕的にそれぞれ検討した。その結果, 透過電顕的には5γ/ml 1時間後では明らかな変化はなかつたが, 4時間後では細胞質内に脂質顆粒の出現がみられた。50γ/ml 1時間後ではすでに菌体細胞の壊死性変化が認められた。

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© 1980 日本皮膚科学会西部支部
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