抄録
1976年から1978年までに広島鉄道病院皮膚科および双三中央病院皮膚科を受診したkeratinous cystの患者のうち,嚢腫を摘除後病理組識学的に観察しえた91症例を対象として続計的観察をおこなつた。Keratinous cystは青年期~中年期の男性に好発し,その好発部位は,顔面,耳介およびその周囲,頸部~項部,背部,腰部~臀部であつた。Keratinous cystの大部分はepidermal cystで,trichilemmal cystはごく少数であつた。米国における同様の検索と比較すると,わが国においてはtrichilemmal cystの頻度が低いと思われた。