西日本皮膚科
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症例
皮膚および骨病変を呈したPolyvinylpyrrolidone沈着症
向井 秀樹斉藤 隆三新井 春枝
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1981 年 43 巻 6 号 p. 1313-1317

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抄録

36才女子,1980年2月左股関節痛および自覚症状を伴わない皮疹を主訴に当科を受診。皮疹は2種類あり,1) 前胸部の皮疹: 1-2cm紫紅色斑および2) 右肘窩注射部: 点状の瘢痕を伴う淡青色斑。これらの皮疹は,14年前流産の際に施行された輸液後数年経つて出現した。皮膚,筋肉および大腿骨頭の病理組織のHE染色にて,組織球の細胞質内に顆粒状一部泡沫状の好塩基性物質が多数みとめられた。かかる物質は,Hale-PAS染色で青色,alkaline Congo-red染色で橙褐色Orcein染色にて茶褐色の陽性像を示した。電顕所見では,組織球の細胞質に大小さまざまなelectron dense lysosomal bodyとvacuoleがみられた。PVP沈着症を疑う場合,診断のためには皮膚生検およびその特殊染色が大いに役立つ。

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© 1981 日本皮膚科学会西部支部
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