西日本皮膚科
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協賛論文
長期間に亘つて血行性皮膚転移を生じたクロモミコーシスの1例
香川 三郎
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1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1062-1067

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抄録

現在40才主婦, 姉の背部にも同症があつたが, 原因菌はF. pedrosoiであつた。患者は13才時より項部に皮疹を認め, 昭和37年2月(21才)東京女子医大を訪れた時には小鶏卵大であつたが, 昭和39年1月東大皮膚科受診時には, 項部~左上背~左肩甲下部におよぶ広さに拡大していた。皮疹は疣状病変で, 鱗屑中に多数の菌糸と胞子がみられたが, sclerotic cell (-), 薗種はP. verrucosa.アンホテリシンBの静注, 局注で著明な改善をみたが, 再発を繰り返し, 昭和42年10月切除·植皮術で原発巣は完治。左頸部リンパ節に転移あり。血行性転移と考えられる皮疹は, 皮下結節(最多), 疣状皮膚病変, 皮内膿瘍の破潰による潰瘍などで, 昭和39年来現在までみられ, 病理組織学的には, 中心壊死とこれをとりまく巨細胞性肉芽腫, 組織内菌要素は菌糸型が主。全身状態良好, 内臓転移を思わせる所見なし。

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© 1981 日本皮膚科学会西部支部
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