西日本皮膚科
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43 巻, Suppl 号
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九州大学医学部皮膚科教室開講75周年記念号
教室記念論文
  • —臨床効果の検討—
    占部 治邦, 西谷 敬子, 今山 修平, 旭 正一
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 909-916
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
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    乾癬患者を対象として発熱シートによる局所温熱療法を行ない優れた治療効果をえた。温熱療法をゲッカーマン療法, 外用PUVA療怯, ステロイド外用療法と比較したところ, 温熱療法はゲッカーマン療法に比べて皮疹消失に要する期間は短かく, 再発までの期間は同等あるいは長いなど優れた成績を示した。病理組織所見, 皮膚毛細血管像の観察でも温熱療法により病理所見の改善が確認された。重篤な副作用はなかつた。
  • —電子顕微鏡による観察—
    今山 修平, 占部 治邦
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 917-923
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    乾癬の皮疹に対して局所温熱療法を行ない, 経時的に皮疹を生検して電子顕微鏡で観察した。悪性腫瘍に対する温熱療法のごとく癌細胞を死に到らしめるという変化ではなく, 細胞を鎮静化させ正常角化過程にもどすという変化が観察された。また治癒後には異常所見をほとんど残さなかつた。
  • 日野 由和夫, 永江 祥之介, 和田 秀敏
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 924-927
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九大皮膚科教室開講以来75年間の薬疹について統計的観察をおこなつた。薬疹患者は総外来患者の1.2%にあたり, 昭和40年以降激増している。年令では青壮年層が最多であるが, 近年小児例および高令者の増加が著明である。60年の報告以後薬疹の病型はますます多彩となり, まさに多元性薬疹時代といえる。
  • 武石 正昭, 中野 迪子, 永瀬 浩一
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 928-931
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九大皮膚科開講以来75年間の小児ストロフルス患者を統計的に観察し, つぎの結果をえた。
    1) 外来患者総数にたいする割合は, 昭和16, 17年の2.78%が最高で近年は減少しており, 昭和46年に0.17%となつてからは, つねに0.2%以下である。
    2) 年令は3才以下のものが多く, 全体の73.0%を占めた。
    3) 初診月は, 5, 6, 7の3ヵ月が多い(53.1%)が, そのほかの月にも分散してみられた。
    4) 近年の本症減少の要因として, 生活水準の向上, 虫の減少, 診断学の変化, ステロイド外用剤の普及などが考えられる。
  • 旭 正一, 河野 剣治, 今村 朋子, 倉員 正俊
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 932-936
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九大皮膚科開講以来75年間の外来カルテから, 紅斑症としてSLE, DLE, Behçet病をとりだし, 年次症例数の変化を統計的に考案した。
    1) SLEは399例(年平均5.32例)で, 戦前は症例が少なく(年平均1.52例)女子に多発する傾向も少ない。昭和30年代後半から増加して女子多発型となり, 最近3年間は年30例を越えている。
    2) DLEは比較的均一な年次分布であるが, やはり戦後増加する傾向がある。最近10年間はむしろ減少している。総計して孤立型のもの1113例, 播種型87例で合計1200例, 年平均16例である。
    3) Behgçet病は昭和35年以降に記載があり, 全部で219例, この21年間では年平均10.43例である。比較的均一な年次分布を示し, 後半10年のほうがやや増加している。
  • 本房 昭三, 宮岡 達也, 奥野 均
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 937-941
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九大皮膚科開講以来75年間の皮膚結核について統計的観察を行なつた。75年間の皮膚結核患者総数は1,496名で, 外来患者総数の0.51%にあたる。経年的には, 昭和30年代になり減少傾向を示し, この傾向は最近も続いている。疾患別にみると, 尋常狼瘡と皮膚疣状結核は最近再然の兆しをみせている。結核疹ではバザン硬結性紅斑が最近減少し, 相対的に顔面播種状粟粒性狼瘡の比率が高くなつてきている。性別では皮膚結核全体では, 1:1.4と女子が優位を占めるが, 真正皮膚結核では男子が優位を占めている。初診時年令では, 20才台にピークがみられ, 青年層に多いことがわかる。
  • 和田 秀敏, 大野 宏守, 幸田 弘
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 942-944
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    明治39年より昭和55年までの75年間の九大皮膚科における梅毒の統計を行なつた。ペニシリンを中心とする駆梅剤と, 保健行政の努力により梅毒は減少傾向にあるが, 今後とも治療と予防に努めなければならない。
  • 西谷 敬子, 佐藤 恵実子, 恒吉 香保子
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 945-948
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    明治39年九大皮膚科開講以来, 昭和55年までの75年間の外来患者のうち, 伝染性膿痂疹, 丹毒, リッター新生児剥脱性皮膚炎およびSSSS, 掌蹠膿疱症, 壊疽性膿皮症について統計的観察を行なつた。
    1) 伝染性膿痂疹の外来頻度は平均1.71%, 最高は昭和20年の9.06%で以後激減し, 最低は昭和54年の0.14%であつた。
    2) 丹毒は161名で, 第2次世界大戦中に最大のピークをみとめた。
    3) 掌蹠膿疱症は昭和33年より診断名が出現して以来昭和55年まで1100名で外来頻度は1.02%であつた。昭和44年までは増加しその後は横這い傾向であつた。
    4) リッタ-剥脱性皮膚炎およびSSSS, 壊疽性膿皮症は極めて少数であつた。
  • 奥野 均, 佐藤 恵実子, 恒吉 香保子, 日野 由和夫
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 949-951
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九州大学医学部皮膚科教室開講以来75年間の外来統計を行ない, 次の結果をえた。
    1) 帯状疱疹は近年増加傾向にあり, 今後もとくに高令者を中心に増加するものと思われる。
    2) 単純疱疹は昭和47年以降増加傾向にあり, 顔面が過半数を占める。
    3) 水痘, 風疹, 麻疹については, 疾患の性質上大学病院を受診するものがきわめて少なく, なんらの結論も出しえなかつた。
  • 真崎 治行, 宮岡 達也, 本房 昭三
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 952-961
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九大皮膚科開講以来75年間の真菌症の続計を行なつた。75年間の外来患者総数292,047人のうち, 真菌症患者は20,571人(7.04%)で, その内訳は白癬16,432人(79.10%), 癜風2,525人(12.15%), カンジダ症1,612人(7.76%), その他の浅在性真菌症114人(0.55%), 深在性真菌症92人(0.44%)であつた。手·足白癬は白癬のなかではもつとも多い病型で白癬の45.8%を占め, 近年増加値向にある。カンジダ症は1972年以来激増していたが, ここ2, 3年は減少している。深在性真菌症のなかではスポロトリコーシスがもつとも多く69.6%を占め, 増加傾向にある。アクチノミコーシスは1966年以来わずかに1例が見られたのみだが, クロモミコーシスは1967年以来5例が観察された。
  • 恒吉 香保子, 松尾 健三, 幸田 弘
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 962-963
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九州大学皮膚科教室の過去75年間にわたる動物寄生性皮膚疾患についての統計的観察を行なつた。疥癬を除く他の疾患は減少傾向にあるが, 一度は稀有な疾患となつた疥癬が増加してきているのは重大な問題である。
  • 倉員 正俊, 今村 朋子, 旭 正一
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 964-969
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    明治39年九大皮膚科開講以来, 昭和55年までの75年間の外来カルテについて, 水疱症の統計的観察をおこなつた。
    1) 天疱症は67例で, 30才台後半から50才台に頻度が高かつた。
    2) 疱疹状皮膚炎は108例で, 50才台に多かつたが, 疾患概念の変化を反映してか, 近年は激減している。
    3) 先天性表皮水疱症は101例あり, 10才以下の幼児例か半数を占めていた。
    4) 類天疱瘡は46例あり, 昭和40年以後にみられた。60才, 70才台の高令者層に多く, 近年増加する傾向にある。
    5) 家族性良性慢性天疱瘡は9例みられ, そのうち6例が40才台であつた。
  • 松尾 健三, 西谷 敬子, 大野 宏守
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 970-973
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    九州大学皮膚科における75年間の乾癬の統計的観察を行なつた。
    1) 乾癬患者は2,574名であり, 総外来患者の0.88%にあたる。昭和30年以後はとくに頻度が著しく上昇し, 欧米の比率に近づきつつある。
    2) 男女比は1.9:1で男性に多い。
    3) 年令別頻度では, 男性は60才以上の高令者に多く, 女性では20才代の青年層に多く認められた。全体としては60才以上の高令者に多くの患者数を認めた。
  • 今山 修平, 永江 祥之介
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 974-983
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    明治39年(1906年)の開講以来昭和55年(1980年)までの75年間に, 九大皮膚科を受診したすべての悪性腫瘍患者を統計的に観察した。その結果, 患者実数·外来患者に占める悪性腫瘍患者の率ともに近年増加していることが実証された。中でもとくに増加している疾患は, Bowen病と乳房外Paget病であり, この両疾患では70才以上の症例が半数を越えることから, 診断技術の進歩に加えて, 平均寿命の延長が大きく寄与していると考えられた。また, 悪性黒色腫とリンパ腫·白血病も増加しており, これは年令分布が高令に片寄つていないため疾患自体の増加と考えられた。いつぽう, 有棘細胞癌と基底細胞癌は増加していない。また時代による疾患概念·治療の変化についても記載した。
皮膚科自遠会記念論文
  • 中溝 慶生, 木村 秀人, 猿田 隆夫
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 984-988
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    乾癬患者のうち, 関節痛, 関節炎を併発した症例について, アンケート調査, 皮疹との関係, 臨床検査成績, HLA抗原について検討した。
    1) 244例の乾癬患者のうち, 関節痛の既往のあるものは男57, 女28, 計85例(34.8%)であり, 部位では膝, 腰, 指趾の順に多かつた。この中で炎症症状のみられたものは男19, 女11, 計30例(35.3%)で, 全体の12%にあたつた。
    2) 入院精査の結果, 乾癬性関節炎と診断したものは10例(男8, 女2)で, 関節痛のみで関節炎と診断できなかつたものが6例(男1, 女5)であつた。
    3) 乾癬性関節炎の10例の検査所見では, 全例が血沈亢進, CRP強陽性, RAテスト陰性で, 9例に爪に病変がみられた。関節痛のみ訴えた6例では異常値はあまりみられなかつたが, 4例に爪に病変をみとめた。
    4) 乾癬性関節炎の8例中2例にHLA B27が検出され, 2例とも関節炎が皮疹に先行した。
  • 利谷 昭治, 林 紀孝
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 989-995
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    1975年より1980年までの6年間に頭部のカンジダ症を11例経験した。いずれも乳幼児で, その大部分は乳児寄生菌性紅斑が汎発化して頭部へも増加拡大したものと理解されるべき症例であるが, とかく安易に湿疹あるいは汗疹などとして看過されがちであり, ステロイド外用剤を塗布されたりベビーパウダーを用いられていたものが多い。なかにはケルスス禿瘡のように炎症症状が顕著で脱毛斑を残して治癒する症例もみられている。文献上, 自験例と同様の症例が6例みられ, 自験例を含めた17例をもとに, 本症の臨床症状, 鑑別診断, 治療などについて述べた。鑑別困難なケルスス禿瘡とは本症が毛髪に菌要素の寄生をみない点で識別した。治療にはmacrogolum 400のみを基剤としたclotrimazole液が効果的であつた。
  • —結合織母斑症候群の提唱—
    西尾 一方, 野見山 朋彦, 末永 義則
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 996-1003
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    播種状結合織母斑の11才男児例を報告した。合併症として脂腺母斑, 動脈管開存症, 胸廓の不整, 高音部に障害のある感音性難聴, 軽度の知能低下を認めた。このような症例にたいして結合織母斑症候群の概念を提唱し, 結合織母斑の範疇にはいる疾患をつぎのように分類した。
    I. 単純性結合織母斑
    II. 複合性結合織母斑
    1) Pringle病に随伴するもの
    2) Buschke-Ollendorf症候群に随伴するもの
    3) Familial cutaneous collagenomaのうちのあるもの
    4) その他(結合織母斑症候群)
  • 幸田 弘, 日野 由和夫, 永瀬 浩一
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1004-1007
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Clarkらによつて提唱されたB-K mole症候群に一致すると思われる24才女子例を報告した。家族内に悪性黒色腫の発生はみられなかつた。
協賛論文
  • —北大皮膚科教室例の検討(その4)—
    三浦 祐晶, 猿田 基司, 川岸 郁朗
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1008-1014
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    昭和42年1月から同54年12月までの満13年間に北大皮膚科外来を受診した皮膚結核患者数は51名で, 新来総数60,679名に対し0.084%であつた。これは, 当料における既往の調査成績(大正14年~昭和16年, 0.69%; 昭和17年~昭和28年, 0.92%; 昭和29年~昭和41年, 0.37%)に比べると著しい減少である。この減少の理由として, 一般結核の激減, 結核免疫の変化, 抗結核剤の進歩が推定される。病型ではバザン硬結性紅斑の著減が目立つた。尋常性狼瘡も減少したが, なお散見され, 全例女性で, かつやや高年令層にみられた。初発年令はこれまでの成績に比べてやや高令化していた。結核性既往歴の頻度は減少していたが, 家族内感染の可能性はより濃厚に推定された。またツベルクリン反応陽性率および強陽性例は前回の報告より減少していた。あわせて興味ある4症例を記述した。
  • —昭和51年11月から昭和54年10月までの3年間における統計的観察—
    日下部 芳志, 水元 俊裕, 大河原 章
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1015-1018
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    北海道道北地方における乾癬に関して, 旭川医科大学付属病院開院時から3年間の統計をまとめ, あわせて他施設の統計と比較した。その結果,
    1) 発生頻度は, 新患総数に対し2.6%で, 全体として欧米の報告に類似する。
    2) 平均初発年令は32.2才で, 本邦の統計にほぼ一致するが, 欧米にくらべ遅い傾向にある。
    3) 初発時年令を男女別にみると, 男性34.7才に対し, 女性では27.8才で, 女性にやや早い傾向がうかがわれた。
    4) 男女比は, 男:女=2.24:1で, ほぼ本邦の報告に一致するが, 欧米とはやや趣を異にする。
    5) 初発部位は, 頭部, 四肢に多く, Koebner現象が発症のひきがねになるのではないかという従来の説が支持されると思われる。
    6) 既往歴に上気道炎を有するものが多かつた。
    7) 家族内発生率は9.1%で, 全国的平均のおよそ7%にくらべ, やや高い傾向がうかがえた。
  • 舛 真一, 五十嵐 稔, 清寺 真, 前田 正光
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1019-1023
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    臨床的および組織学的に典型的な悪性萎縮性丘疹症(Degos病)の1例について報告した。主な所見として, 1) 頭部·顔面·手掌·足蹠を除くほぼ全身に, 直径5~10mmの中心部黄色陥凹性で辺縁が隆起した円形ないし長円形の皮疹が多数認められた。辺縁部には毛細血管拡張をともなつていた。2) 急性腹症をともない, 手術時, 小腸に多数の萎縮性黄白色斑と4ヵ所の穿孔が認められた。3) 組織学的には表皮の著明な萎縮, 錯角化をともなつた角質増生, 真皮上層の硝子様変性, 真皮細血管壁の肥厚·管腔狭窄および閉塞が認められた。さらに深部の中等大動脈の内膜肥厚も認められた。4) 組織化学的に, とくに病巣の辺縁部においてヒアルロン酸とデルマタン硫酸の増加が認められた。
  • 石川 英一, 前田 秀文
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1024-1028
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    著者らの皮膚グリコスアミノグリカンの微細構造に関する知見をまとめた。正常皮膚ではヒアルロン酸とプロテオグリカンからなる巨大分子構造がみられる。しかし粘液水産性苔癬ではプロテオグリカン構造を欠き, 全身性ヒアリノーシスでは異常プロテオグリカン巨大分子構造沈着がみられる。
  • 石橋 康正, 松川 中, 余 幸司, 井上 由紀子, 竹原 和彦, 関 利仁, 久木田 淳
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1029-1043
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    42才男子Pringle病患者の顔面桑実状皮疹を電顕的に観察し, 次の結果を得た。
    1) 真皮上層には互に突起を持つて連結する暗調, 明調2種の樹枝状細胞が識別された。
    2) 暗調細胞は細胞内小器官の発達に乏しかつた。
    3) 明調細胞は核膜が厚く, 細胞膜に限局性肥厚があり, またその近傍にFLSCの形成をともなつていた。
    4) しばしば多核巨細胞を認め, これは構造的に明調細胞に近似であつた。
    5) 毛細血管内皮は細胞質が暗調で, 核膜の肥厚が目立ち, 外周細胞は構造上平滑筋細胞に類似していた。周囲にFLSCを豊富に認めた。
    6) 膠原線維の形成は著明で, 原線維は短い範囲で錯綜して走る特異な像を示していた。原線維間にはmicrofibrilの形成が原著であつた。
    7) 弾力線維の形成は見られなかつた。
  • 森岡 貞雄
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1044-1049
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    36才女子と55才男子の頭部に出現したmalignant proliferating trichiemmal cystsの2例を報告し, 本疾患の特徴について検討を加えた。
  • 野口 義圀, 古澤 修一, 橋本 喬史, 柳田 たみ子, 岡本 茂樹
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1050-1055
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    ベーチェット病患者で関節炎を併発している場合滑液中(7症例, 12検体)に白血球を呑食する単核性細胞が出現する。この呑食細胞はライター細胞に酷似し, 大形の単核性細胞が1個ないし数個の多形核白血球を細胞質内に取りこんだものである。それら白血球の核は濃縮し球状に変性したものが多い。しかし慢性関節リウマチ(7症例9検体の中1検体を除く)や変形関節症(2症例)で白血球呑食細胞の出現をみなかつた。自己白血球呑食細胞を実験的に再現すべく, ベーチェット病患者末梢血にLE細胞検査の茶こし法を行ない, 最終段階でE. coli由来LPSを作用させたところ10中2検体に白血球呑食細胞の出現が観察された。さらに家兎膝関節腔にLPS(50μgおよび10μg)を注入, 24時間後の滑液を鏡検したところ白血球呑食細胞の生成をみた。なお最近経験したライター病滑液中に白血球呑食細胞が観察され, 前述の白血球呑食細胞とライター細胞とは同一であることが判つた。
  • 肥田野 信, 中島 静香
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1056-1061
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Parakeratosis variegataと苔癬様類乾癬との異同についてはもとから種々の議論があるが, 最近のSammon, Degosらの見解ではこれらを別症とし, しかも類乾癬の各型の名称にも変更が加えられている。そこで混同を招く虞れのあるこれらの用語は廃する方がよいと思われる。9才で発病した10才女子のほぼ全身にわたる落屑性紅斑を10年間追跡した。自覚症状なく, 組織学的には非特異的で, 皮疹特徴は淡紅~褐紅色の粃糠様落屑を有する紅斑が複雑に交錯し, 丘疹も見られる点である。一部は大理石模様を呈した。ソランタール, ユベラは無効, ステロイド, 尿素, アンスラリンなどの外用も無効だつたがoral retinoidで軽快中。本症例を文献例と比較し, 新しいentityとしてpersistent mosaic erythrokeratodermaの名を提唱した。
  • 香川 三郎
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1062-1067
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    現在40才主婦, 姉の背部にも同症があつたが, 原因菌はF. pedrosoiであつた。患者は13才時より項部に皮疹を認め, 昭和37年2月(21才)東京女子医大を訪れた時には小鶏卵大であつたが, 昭和39年1月東大皮膚科受診時には, 項部~左上背~左肩甲下部におよぶ広さに拡大していた。皮疹は疣状病変で, 鱗屑中に多数の菌糸と胞子がみられたが, sclerotic cell (-), 薗種はP. verrucosa.アンホテリシンBの静注, 局注で著明な改善をみたが, 再発を繰り返し, 昭和42年10月切除·植皮術で原発巣は完治。左頸部リンパ節に転移あり。血行性転移と考えられる皮疹は, 皮下結節(最多), 疣状皮膚病変, 皮内膿瘍の破潰による潰瘍などで, 昭和39年来現在までみられ, 病理組織学的には, 中心壊死とこれをとりまく巨細胞性肉芽腫, 組織内菌要素は菌糸型が主。全身状態良好, 内臓転移を思わせる所見なし。
  • 塩原 哲夫, 小林 勝, 長島 正治
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1068-1072
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    急性滴状乾癬の母子例と尋常乾癬の父娘例を経験し, 主としてHLA抗原の検索結果について報告した。症例1, 2(子10才, 母29才)は急性滴状乾癬の母子例で, ともに扁桃腫大, 白血球増多を認めた。家族全員のHLA抗原タイピングを行なつた結果, 症例1ではA2, AW24, 8W59, BW39, DR4, 症例2では, A2, AW24, CW3, BW61, BW39, DR4であり, 患者にDR4がhomozygousで認められたことは注目すべき所見と思われた。症例3, 4(娘19才, 父53才)は典型的な尋常乾癬の父娘例で, 検査所見では著変を認めなかつた。家族のHLA抗原タイピングを行ない, 症例3ではAW24, CW8, BW51, BW54, DRW6, DR4, 症例4ではA3, AW24, CW6, CW8, B13, BW51, DR7, DRW6の結果を得た。乾癬患者に高頻度に出現するCW6-B13-DR7のhaplotypeは父に確認されたが, 娘に認められなかつた点は興味深い所見と思われた。
  • 斉藤 隆三, 大井田 真紀子, 西山 茂夫, 渡辺 敏
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1073-1077
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
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    北里大学病院中央手術室にて全身麻酔下で手術を受けた症例を対象にし, 術後脱毛症の実態につき調査を行なつた。昭和55年1月初旬より昭和55年3月末日までの3ヵ月の間に手術を受け術後2週間以上の観察ができた182症例中脱毛症は8例あつた。その内訳は, 形成外科2例, 脳外科2例, 胸部外科4例である。手術時間, 麻酔時間は5時間以上にわたる長時間のものに脱毛例が多くなる傾向にあるが, 比較的短時間の症例もある。後頭部の楕円形ないし三日月状の単発する脱毛斑で, 術後局所の痛みや軽い発赤をみる例が多い。平均術後14日日頃に気づかれる。全例が瘢痕を残さずに毛髪の再生をみている。使用薬剤, 術中の血圧低下については特に非脱毛例との差はなかつた。病理組織学的には, 真皮上層の浮腫, 内膜の肥厚による血管の閉塞性変化, 毛包は退行期毛包が多く, エオジンに均質に染まる結合織が毛包周囲を取り囲むような所見があつた。
  • 佐藤 良夫, 設楽 篤幸, 森下 美知子, 永井 透, 山口 茂光, 本好 捷宏
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1078-1084
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    真皮内の異物が, 表皮や毛包を通じて体外に排除されることがある。これをMehregan(1968)はtransepithelial eliminationと呼んだ。佐藤(1976)はこの現象を皮膚のelimination現象(E現象と略)と略称し, この現象が特徴的, 基本的な病的過程を示す疾患をelimination dermatosesとして包括した。E現象は皮膚病理組織学の理解の上で, さらに皮膚病変の成立過程の上で重要な意義を有する。そして本現象は異物排除織能として, 皮膚の基本的な生物学的反応形式の一つであると考える。本現象の概念が確立するまでの歴史的過程を述べ, elimination dermatosesとE現象のみられる疾患を文献的にまとめた。またわれわれの動物実験の成績の一部を記し, E現象の様式と機序を考察した。
  • 福代 良一, 沢田 光夫, 大槻 典男, 佐野 勉, 池田 真康
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1085-1099
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
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    金沢大学および金沢医科大学の各皮膚科で最近の21年間に観察したサルコイドーシスは179例, うち瘢痕浸潤を伴つたもの34例(19%), これは皮膚サルコイドを伴つたもの(29例)および同期間に扱つたいわゆるシリカ肉芽腫(数例)よりも多かつた。瘢痕浸潤の部位は膝が最多(48%), あと肘(23%), その他。単部位のほか, 多部位の瘢痕の浸潤例もあつた。傷の種類は擦過傷が最多, まれに皮下の瘢痕やKveim生検部位の浸潤もみられた。臨床像は瘢痕の軽い赤みとやや硬い腫脹であるが, 赤みと少量の鱗屑のみの軽微な変化もあつた。組織像はガラス様異物を含んだ類上皮細胞内芽腫と線維化が特徴的。電顕像ではライソソーム様dense bodiesの多いI型細胞, 空胞の多いII型細胞, residual bodiesやミエリン様構造の多いIII型細胞がみられた。分析電顕によつて異物は粘土鉱物と推定され, 発光分光分析によつて肉芽腫内にシリカの多いことが証明された。
  • —Necrotizing Fasciitis—
    山田 瑞穂, 田上 八朗, 森口 隆彦, 井上 邦雄, 金丸 優子, 田島 裕美子, 立田 京子, 大井 正俊
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1100-1105
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    78才女子の左足背, 7才男児の腹壁(水痘雁患後), 57才女子の左手指に生じたstreptococcal gangrene 3例を報告した。第1例, 第2例とも, 血液培養で溶連菌がえられた。局所から, 第1例では溶連菌が, 第2例では黄色ブ菌が, 第3例では表皮ブ菌がえられた。第1例ではsurgical débridmentの後mesh skin graftを行ない, 第2例, 第3例ではsurgical débridment後, 植皮は行なわず, 瘢痕性に治癒した。本症では必ずしも溶連菌が培養されずに他の細菌が培養され, 病変が筋膜の壊死であるとの理由で, streptococcalの名を廃し, necrotizing fasciitisと呼ぶべきであるとの主張もあるが, ごく早期に培養されなければ, また, 他の菌が混在すれば, 溶連菌は生えにくく, 他の菌が優位となるので, その菌を原因菌とは見なし難く, 溶連菌性を否定できないと思われる。
  • 前田 学, 森 俊二, 森川 孝雄
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1106-1110
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    66才の男子で初診(昭和53年12月8日)の約8年前より顔面左側に限局してkeratoacanthomaを計11~12個生じた症例を報告した。組織像は典型的なkeratoacanthomaで, 過去10年間130余例の報告中, 再発性と見なし得たのは自験例を含め3例であり, 珍しい症例と思われた。なおSCCとの鑑別につき文献的考察を加えた。
  • 渡辺 昌平, 広永 正紀, 本城 和代
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1111-1118
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    最近10数年に日本全国に蔓延するに至つたMicrosporum canisについて, その発生, 蔓延の状況を戦前からの歴史的経過を辿つて文献的考察を試みた。人の本菌感染症の感染源としては, 描, 犬が大きな役割を荷つており, とくに猫は外来種のシャム系·ペルシャ系の猫が本菌の蔓延に重要な意味をもつている。この点, 本菌は戦後のペットブームと共に, 外来から高級猫または犬とともに持ち込まれたものと考えられるが, 一部は戦前から北海道で札幌小胞子菌として発表された系統のものが存在していた証拠があり, 現在の蔓延にはこの両系統のものが混在している可能性がある。本菌の交配型はほとんどの分離株が“-”型を示すが, 現在本邦でのみ4株の“+”型が発見されており, 本菌の世界での分布, 蔓延の状況を追求する一つの手懸りとして興味深い示唆を与える。
  • 今村 貞夫
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1119-1125
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    SLEの紅斑について述べ, それが日光照射と関係のあることから, 紫外線変性DNAによる家兎の実験的LE様皮疹に関するわれわれの実験結果を示し, 皮疹発生のメカニズムをスペキュレートした。
  • 外松 茂太郎, 安野 洋一, 松原 基夫, 高橋 示人, 小笠原 孟史
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1126-1132
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    播種性好酸球性膠原病と思われる68才女子の症例を報告した。主要症例は繰返すそう痒性皮疹, 発熱のほか肝腫大, 一過性のリンパ節腫大などで, 検査所見では末梢血の好酸球増多, 高γ-グロブリン血症やIgE高値などの異常が認められた。経過中腎機能低下と高血圧がみられたため, 多発性動脈炎との鑑別が問題となつた。現在のところコルチコステロイドの投与により症状は比較的よくコントロールされている。
  • 井上 光子, 細川 宏, 堀尾 澄仁, 朝田 康夫, 杉島 忠志, 尾口 基
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1133-1137
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    高知県出身の57才男子例を報告した。白血球増多, リンパ球増多を示し軽度リンパ筋腫大, 肝腫大を認めたが骨髄への浸潤はなかつた。全身そう痒感, 痒疹様皮疹, 魚鱗癬様皮疹, 散在性丘疹が経過中にみられた。組織学的に多形性を示す異常リンパ球の浸潤が真皮上層に存在し, 一部は表皮内にも浸潤してPautrier微小膿瘍を形成していた。電顕による観察では核に切れ込みが見られ, 細胞質にはclustered dense bodyが認められた。末梢血中の異常細胞の免疫学的膜性状についてはE-rosette陽性でT細胞性格を示した。VEMP療法施行で寛解が得られたが, 現在末梢血所見, 皮膚症状ともに増悪をきたしている。
  • 西岡 清, 晒 千津子, 佐野 栄春
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1138-1140
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    Emmerson & Wilson-Jonesによつて提唱されたeosinophilic spongiosis(ES)は, 天疱瘡の特徴的病理所見とされているが, 免疫組織学的に診断された25例の水疱性類天疱瘡患者の生検標本で6例にESが認められ, 4例に好酸球浸潤を伴わないspongiosisが観察された。これらの所見を表皮内に含有する生検標本では, 真皮上層に著明な好酸球浸潤を伴う場合が多く(計10例中9例), また, それらの症例では, 生検時に末梢血好酸球増多を示すことが多く(9例中6例)見られた。以上の結果から, ESは, 天疱瘡群の特徴的病理所見とするよりも, 自己免疫性水疱症における一病理組織所見として再検討されるべきものと考えられた。
  • 野原 望, 小玉 肇
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1141-1147
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    著者らの教室での黄色腫に関する研究結果をまとめた。臨床的には本邦第1例の自己免疫性高脂血症にともなう扁平黄色腫の紹介をはじめ, リポ蛋白代謝異常と黄色腫の関係について述べた。さらに泡沫細胞が組織球, おそらく血中の単球に由来するであろうと推測し, また黄色腫に蓄積する脂質が主として血中のリポ蛋白に由来することを確認した。そして泡沫細胞へのリポ蛋白のとりこみ機序および泡沫細胞からのコレステロールの排除機序についての最近の考え方を, LDL pathway, HDL pathwayおよびscavenger pathwayと対比しつつ紹介し, 著者らが考案した実験的黄色腫組織の形成機序について考察した。実験的黄色腫組織におけるコレステロール代謝について検討した結果, 黄色腫組織にコレステロールが蓄積すると本来のコレステロール合成能は低下するがエステル化は亢進すること, このエステル化はACATを介して主として血清由来のオレイン酸によつて行なわれることを明らかにした。
  • 植木 宏明
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1148-1153
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    皮膚結合組織および血管系を場として, immune complexがどのような機序で沈着し, 分布し, 展開し, 消失してゆくか, その過程でどのような変化が生じてくるかについて実験的成績を中心に紹介し, 解説した。そして基礎的な成績を基に, 臨床的に種々の皮膚疾患でのimmune complexの沈着や局在について比較検討した。臨床的にimmune complex病はpersistent typeとtransient typeに区分されるが, 前者は自己免疫性疾患で, 後者は感染アレルギー性疾患で多く証明される。しかし自己免疫性疾患では多種多彩なimmune complexが血中や組織中で証明される可能性があり, また皮膚内でも多彩な局在を示すこと, それぞれによつて生物学的活性も異なつていることなど注意する必要がある。1人の患者でも多彩なimmune complexが形成され, 展開し, それらはしかも時々刻々変化している可能性もある。
  • 矢村 卓三, 浜田 幸枝, 岡野 伸二
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1154-1157
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    ヒスタミン遊離物質であるcompound 48/80をモルモットに皮内注射し, その肉眼的観察と組織学的観察を経時的におこなつた。組織には単核球, 好中球, 好酸球, 好塩基球を含む多彩な細胞浸潤を認め, とくに24時間後の好塩基球の浸潤が目立つた。Compound 48/80を連続注射することにより表皮肥厚が出現した。卵白アルブミン感作モルモットに抗原を注射した場合も少数の好塩基球の浸潤がみられ, 表皮肥厚がみとめられた。ヒスタミンを皮内注射した場合は細胞浸潤, 表皮肥厚とも対照とくらべ有意の差はなかつた。以上の実験からアトピー皮膚炎におけるI型アレルギー, 好塩基球の役割について考察をおこなつた。
  • —0.05% Diflorasone Diacetate軟膏単純塗布の場合—
    阿曽 三樹, 中山 英俊, 田中 敬子, 神戸 直登, 三原 基之, 島雄 周平, 藪田 良子, 河本 裕子
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1158-1163
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    1) 種々の皮膚疾患患者6例に0.05% diflorasone diacetate軟膏10~60g/dayを単純塗布し, 血清11-OHCS値, 尿中17-OHCS値, 末梢循環好酸球数および血糖値を測定した。
    2) 血緒11-OHCS値は20~60g/day塗布例で明らかに低下し, 多くの例で外用中止後前値への回復が遅延した。
    3) 尿中17-OHCS値は30g/day塗布例と40g/day塗布例で低下した。
    4) 末梢循環好酸球数は20-60g/day塗布例で減少した。
    5) 血糖値は40g/day塗布例の1例で上昇した。
    6) 臨床的に全例に著効を認めた。
    7) 0.05% Diflorasone diacetate軟膏は臨床効果が非常に優れかつ副腎皮質機能抑制作用の非常に強い外用剤で, 従来のコルチコステロイド外用剤では0.05% clobetasol 17-propionate軟膏とほぼ同等と考えられた。
  • 地土井 襄璽, 山本 昇壮, 高垣 謙二, 山崎 正博, 大畑 力, 望月 輝三
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1164-1170
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    感作から皮膚炎発現までの一連の経過を刺激するものとして, cyclophos phamide投与を, 全身状態に動揺を与えるものとしてビタミンB2の欠乏および負荷をとりあげ, それらのアレルギー性接触皮膚炎発現におよぼす影響を病理組織学的に調べた。その結果, 感作前にcyclophosphamideを投与すると皮膚炎の増強をみるが, 感作と同時に, および惹起前に投与した場合には抑制された。また, ビタミンB2の欠乏時にはより強い炎症が長く続くが, 負荷時には軽微であつた。以上より, アレルギー性接触皮膚炎発現に関しては, その免疫学的経過に刺激を与えることのみならず, 全身的な栄養状態も関与するとの結論を得た。
  • 藤田 英輔, 麻上 千鳥, 西岡 和恵, 越智 敬三
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1171-1180
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    慢性腎不全患者の腎透析療法中に生じた多発性潰瘍例について血清リポ蛋白および皮疹の微細構造に関する検索結果をもとに発症機序について考察を加えた。血液化学的には, 代謝性アシドーシスおよびリポ蛋白異常が認められた。病理組織学的には, 真皮—脂肪織境界部の血管の血栓, 血管壁のCa沈着および膠原線維間Ca沈着が認められた。電顕的には, amorphousないしfilamentousな構造物が, 真皮網状層の膠原線維周囲およびその一部血管の内外に沈着しているのが認められた。膠原線経は, 細線維の直径が不均一な所見を, また弾力線維は細線維におけるmatrix物質の沈着が疎な未熟像をそれぞれ示した。
  • —とくに伸展線条と身体的要因との相関について—
    岡田 哲哉, 寺本 辰之, 松田 光司, 町野 博, 多田 正憲, 奈良 有美子, 宮内 俊次, 山田 徹太郎, 川津 智是, 三木 吉治, ...
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1181-1185
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    愛媛県温泉郡重信町の学生694名(うち男子337名, 女子357名)高校生915名(うち男子309名, 女子606名)計1609名を対象に皮膚伸展線条(以下SDと略), 尋常ざ瘡(AV), 毛孔性苔癬(KP), 尋常魚鱗癬, 尋常疣贅, 白癬, アトピー皮膚炎, black heelの8疾患の頻度およびSDの出現に関係する身体的要因および疾患との関連を検討した。身長, 体重, 胸囲から計算した仮想体積の増加率と体重増加率の比とSD百分率との間に一次相関がみられたが, SDとスポーツ活動, AVやEPとの間には明らかな関係はみられなかつた。
  • 安里 哲時, 武田 克之
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1186-1192
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    吉草酸ジフルコルトロン, ジプロピオン酸ベタメタゾン, 酪酸ヒドロコルチゾン, フルオシノニド, プロピオン酸クロベタゾールの各クリーム剤とネリゾナユニバーサルクリームの基剤を11名の健常被験者に無作為に割付け, 前腕屈側に5週間密封後の皮膚萎縮について組織学的に比較検討した。臨床効果は強力な吉草酸ジフルコルトロンが皮膚萎縮作用は弱いことがわかり, コルチコステロイド外用剤の抗炎症作用と皮膚萎縮作用の解離がありうることが実証された。
  • 笹井 陽一郎, 名嘉真 武司, 笠田 守, 池田 重雄
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1193-1198
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    乳房外Paget病におけるPaget細胞内シアロムチンの性状について, 組織化学的手技を用いて検索した。用いた染色法は, Alcian blue法, Azure A法, PAS反応である。Polyamonの同定は, 塩化マグネシウム, オキシ塩化ジルコニウムを用いる臨界濃度法によつた。さらに, methylation, saponification, borohydride処理, 酸性加水分解, ならびにdiastase, neuraminidase, chondroitinase ABC, nucleaseによる消化試験をおこなつた。これらより, 外陰部Paget病におけるPaget細胞内シアル酸は, 側鎖にアシル基をもたないこと, 肛囲Paget病および乳房Paget病ではC7にアシル基を持つことが示唆された。
  • —好酸球浸潤に対する電顕的観察—
    吉田 彦太郎, 堀 真, 広瀬 寮二
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1199-1206
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    生後20日目女児の色素失調症(Bloch-Sulzberger症侯群)の1例を示した。全身的な異常, 合併症はほとんどなく, 発育も現在までのところ(生後1年半)正常である。生後13ヵ月目に施行したウイルス抗体価の測定ではサイトメガロウイルスに対して32倍の高値が認められた。急性炎症期の生検組織について電顕的にも検討を加え, 表皮および真皮での好酸球の脱顆粒とその周囲の組織の著明な浮腫と変性を認めた。この所見は, 表皮に浸潤した好酸球が貪食細胞の貪食効果を高め, 正常組織の再生を促す作用を有することを示唆するのではないかと考えた。
  • 荒尾 龍喜, 小野 友道, 城野 昌義, 阿部 重夫
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1207-1214
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    65才男子, 左足蹠に生じたまだ色素斑の状態にある肢端黒子状悪性黒色腫より著明な転移巣を形成した症例を報告, 本症型では初期よりかなり高悪性度の異型色素細胞が形成されると思われ, 併せて各症型にみられる色素斑について比較検討を行なつた。
  • I. 去勢の影響
    高安 進, 板見 智
    1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1215-1217
    発行日: 1981/11/01
    公開日: 2012/03/22
    ジャーナル 認証あり
    雄ハムスター皮脂腺における5α-reductase活性を, われわれの考案した微量定量法により測定し, 去勢のおよぼす影響を検討した。再結晶法により代謝産物を固定した。その結果, 去勢1週間後に5α-reductase活性は正常群の約290%に増加し, 2, 3週後も同様の値を示した。このような去勢後の5α-reductase活性の上昇は, 前立腺, 精嚢などの他の標的臓器における変化と対象的である。
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