西日本皮膚科
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治療
Open StudyによるRetinoid (Etretinate)の臨床効果の検討
Etretinate臨床研究班
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1982 年 44 巻 6 号 p. 988-999

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抄録

新しいビタミンA類似合成化合物であるetretinate経口剤の種々皮膚疾患に対する有用性を, 30施設によるopen studyで検討した。対象疾患は, 乾癬, 魚鱗癬などの角化性疾患を始めとする369例で, 罹病期間の長く, 重症度も高い難治性のものがほとんどであつた。治療効果では, 膿疱性乾癬, 先天性魚鱗癬様紅皮症など, 従来有力な治療法のなかつた疾患に劇的に効果を示したほか, 全体でも軽快以上74%と優れた成績を示した。また一部の症例では既存の治療法との併用効果も検討し, 相加効果が認められた。一方, 本剤の副作用として口唇炎などのビタミンA過剰症様症状が, ほぼ全例に出現した。それらはいずれも用量相関的で, 投与の減量または中止により回復した。以上より本剤は難治性の角化性疾患に対し高い有用性をもつものと考えられた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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