西日本皮膚科
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症例
Superficial Spreading Melanoma
—皮疹の色調の多様性に関する電子顕微鏡的考察—
西村 正幸三原 公彦幸田 弘
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1983 年 45 巻 6 号 p. 958-964

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抄録

62才女子の左大腿内側に生じた, 臨床的および組織学的に典型例と思われる, superficial spreading melanomaの1例を報告し, 腫瘍細胞の細胞質にみられたメラノソームの微細構造について考察をおこなつた。典型的ユーメラノソームも少数みられたが, 類円形で変わつた内部構造を示すメラノソームが多かつた。それらは周期性の線維様内部構造の代わりに小胞様, らせん状の微小管状あるいは断片的周期性線維様の内部構造をもち, 種々の量の瀰漫性顆粒状のメラニン沈着を示していた。最近のメラニンに関する化学的知見とユーメラノソームおよびフェオメラノソームの微細構造上の特徴に基づき, これらはフェオメラノソームあるいはフェオメラノソームとユーメラノソームの混合型と考えられた。さらに腫瘍細胞の含有するメラニン色素の質と量の違いが, pagetoid型黒色腫の肉眼的色調の多様性の原因と推測された。

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© 1983 日本皮膚科学会西部支部
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