西日本皮膚科
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症例
肺高血圧症を合併し, 死亡した抗RNP抗体高値陽性鞏皮症の1例
長谷川 澄子谷口 芳記志田 祐子小西 得司須川 正宏
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1984 年 46 巻 1 号 p. 310-315

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抄録
53才女子。手から前腕, 顔面の浮腫性硬化および皮膚生検組織での膠原線維の増生および膨化, レイノー現象, 食道運動障害などの鞏皮症症状が主体であつたが, その他筋肉痛, 筋電図変化, 高アルドラーゼ血症などの皮膚筋炎様症状および高γ-グロブリン血症を呈した。また, 免疫血清学的にはspeckled patternの抗核抗体陽性, 抗RNP抗体高値, 抗Sm抗体陰性, 抗DNA抗体低値, 血清補体価正常であつた。経過中, 労作時呼吸困難が急速に増強し, 肺高血圧症が確認され, ステロイド投与を開始したところ, 前腕, 顔面の皮膚硬化の消失, 免疫グロブリンの正常化, 抗核抗体, 抗RNP抗体の低下をみたが, レイノー現象, 肺高血圧症は不変で, 心不全症状の突然の悪化にて死亡した。自験例は, 臨床的には鞏皮症を考慮したが, 多くの免疫学的異常を有しており, 鞏皮症の中でもMCTDまたはmesenchymal sclerodermaに近縁のものと思われる。
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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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