抄録
SLE 66例, widespread DLE 12例, subacute LE 5例, localized DLE 14例において, Clq solid phase enzyme immunoassay(Clq EIA), anti-C3 solid phase enzyme immunoassay(a-C3 EIA)により, 血清免疫複合体(CIC)を測定した。またCIC陽性の血清をSephacryl S300 superfineを用いてゲル濾過し, 得られた各分画についてimmune complex(IC)活性を測定し, ICの分子サイズによる分布について検討した。1) いずれの方法によつてもSLEにおいて高い陽性率が認められた。両測定法ともに陽性を示した症例はSLEの40.9%とwidespread DLEの16.7%であつた。2) Clq EIAとa-C3 EIAによる測定値の間に有意の相関関係はみられなかつた。3) Clq EIA陽性と臨床所見との間には有意の関係がみられた。4) SLE患者血清のCICには種々のsizeのものが含まれており, Clq EIAとa-C3 EIAではそれぞれ異なつた分布を示した。両測定法が一致して陽性を示すピークの数は全体のピークの数の約1/2であつた。5) SLE, widespread DLE, subacute LE, localized DLEなどにおいて, ICの分布パターンに明らかな違いはみられなかつた。6) SLE患者2例について治療前後のICの分布を比較した。その結果, 2症例ともlarge sizeのICの消失が共通していた。しかし, 他のsizeのICについては, 絶対量の減少のほかには, 明らかに共通した変化は見出しえなかつた。今後, ICの分布と臨床症状, あるいは検査所見, とくに自己抗体価との関連, IC活性を示す各ピークにおける抗原の証明など, さらに検索を続け, 明らかにする必要があると思われる。