西日本皮膚科
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研究
表皮L細胞密度と被感作能
小竹 喜美子今林 一美高橋 正伸相模 成一郎
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1984 年 46 巻 3 号 p. 736-741

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抄録
マウスの腹部皮膚にtape strippingを行つて角質層を剥離した後, その皮膚におけるL細胞の動態をATPase染色法と電顕を用いて観察し, また, その皮膚にDNFBを塗布することにより得られる遅延型接触過敏反応を観察した。その結果, 以下のことが観察された。1) Tape stripping後におけるL細胞の表皮内存在は, (i) ATPase染色上では減数し, その減数は遅くとも4日目には回復する。(ii) 電顕的にはL細胞の表皮内密度は必ずしも低下しているとは断定できないが, tape strippingによりL細胞とK細胞に僅かな形態的変化をみる。2) Tape strippingを行つた皮膚のもつDNFBに対する感作能は, ATPase染色所見に比例する。3) Tape stripping後1日目にDNFBで感作した動物には, 脾細胞内にsuppressor cellが誘導されている可能性がある。以上のことより, C3H/HeNCrj系マウスの皮膚のもつDNFBに対する感作能は, L細胞の表皮内における数のみではなく, そのATPase活性の強さにも比例すると考えられる。
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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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