西日本皮膚科
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症例
クロモミコーシスの重複感染例
高瀬 孝子馬場 徹上野 賢一
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1985 年 47 巻 2 号 p. 251-256

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抄録

症例は44才女子。昭和43年, 右上眼瞼に皮疹が出現し, 右眼周囲に徐々に拡大したので, 切除植皮を行い根治した。切除組織片を培養し, Phialophora verrucosaを分離した1)。昭和52年, 左頸部の皮疹に気づき, 徐々に拡大したため, 昭和54年当科を受診した。頸部皮疹の痂皮および生検組織片からの培養にてFonsecaea pedrosoiを分離した。組織内菌要素としてはsclerotic cellsのほかにsclerotic cellsからの短い菌糸発芽がみられた。頸および鎖骨上窩リンパ節への転移もみられた。5-フルオロサイトシンの内服が有効であつた。現在, 頸部皮疹は瘢痕治癒し, 触知するリンパ節もない。2種の黒色真菌による, 時期の異なる重複感染例が観察されたので報告した。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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