西日本皮膚科
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シンポジウム
薬剤誘発性天疱瘡
橋本 公二
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1986 年 48 巻 3 号 p. 436-442

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抄録

種々の薬剤により天疱瘡様の皮疹が出現することが知られており, 薬剤誘発性天疱瘡と呼ばれている。誘発薬剤としては, D-ペニシラミン, リファンピシン, フェニルブタゾン, ペニシリン, カプトプリル, アモキシシリン, アンピシリン, チオラ, シオゾールによるものなどが報告されており, D-ペニシラミンによるものがもつとも多い。D-ペニシラミン誘発性天疱瘡は臨床的にherpetiform pemphigus様, あるいはpemphigus foliaceus様を呈することが多く, 組織学的には棘融解の認められない場合もあり, 天疱瘡と異なる。しかし, 蛍光抗体法所見および水疱発生機序では天疱瘡と共通する点があり, D-ペニシラミン誘発性天疱瘡は天疱瘡にきわめて類似するが, 異なる疾患ではないかと考えられ, その発生機序の解明, とくに自己抗原の同定, 水疱形成における蛋白分解酵素の関与の同定は天疱瘡の発生機序の解明に有力な手掛りを与えるものと考えられる。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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