1986 年 48 巻 6 号 p. 1060-1064
79才女子。高血圧症のためメチクランを内服し約半年後に露出部に紅斑が出現, 数ヵ月後には色素沈着および脱色素斑を生じ白斑黒皮症の状態となつた。原因薬剤の検索ではメチクランの内服照射試験でUVA照射24時間後に紅斑が出現した。また, 病歴上, 内服の既往のなかつたトリクロルメチアジドに対しても内服照射試験において交差反応が認められた。薬剤内服後のUVAに対する紅斑反応はメチクランでは5週間, トリクロルメチアジドでは1週間持続した。本症の光線過敏ではphotoallergicな機序が推定され, メチクランまたはサイアザイド系薬剤の再投与でpersistent light reactorへ移行する可能性も考えられ長期間のfollow upが必要と思われた。