西日本皮膚科
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研究
経皮炭酸ガス分圧測定時の応答速度におよぼす角質層の影響
滝脇 弘嗣
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1987 年 49 巻 1 号 p. 68-73

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抄録
経皮炭酸ガス分圧(tcPco2)モニターのセンサをあらかじめ空気レベルに下げたあと, 身体各部の皮膚に装着し, tcPco2が定常値になるまでの応答曲線を記録した。各部位での応答速度をhalf time(t1/2)を示標として比較すると, 口唇粘膜でもつとも速く, 腕や躯幹の皮膚がそれに続き, 手掌と足蹠では著しく遅延した。またストリッピング施行部では, 施行回数が増すにつれt1/2は短縮した。さらに上腕より採取した角層を用いてin vitroでの応答速度についても検討した結果, tcPco2測定の応答速度はセンサ自体の応答遅延の影響などを除けば, 主に角層で律速されると結論し, 角層のin vitroでのCO2拡散係数を0.1×10-7cm2/秒と概算した。以上の結果から, tcPco2測定時の応答速度から角層の厚さを評価しうる可能性についても言及した。
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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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