西日本皮膚科
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症例
小児皮膚悪性リンパ腫(B Cell Lymphoma)
 
岩崎 雅塚本 宏太郎竹崎 伸一郎蒲原 孝島本 由紀子
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ジャーナル 認証あり

1987 年 49 巻 5 号 p. 783-788

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抄録
腫瘍細胞の性格が幹細胞とpre-preB細胞の中間の分化段階の細胞に対応する小児皮膚悪性リンパ腫(B cell lymphoma)の1例を報告した。症例は7才男児で, 初診5ヵ月前に右前額部を打撲後, 右前額部腫瘤に気づいた。腫瘤は徐々に増大した。組織学的には, 瀰漫性リンパ芽球型リンパ腫で, 免疫組織化学的検索より, 幹細胞とpre-preB細胞の間の未熟B細胞(Ia+, CALLA+, B4+, B1-, CIgm-)に相当することが明らかにされた。Stage II(Murphy分類)であつたが, 治療は修正LSA2L2プロトコールを施行し, 経過良好である。小児皮膚悪性リンパ腫の本邦報告例の多くは, 瀰漫性リンパ芽球型で, grenz zone陽性であつた。さらに, 腫瘍細胞性格が明示されている11例を再検討した結果, 従来の“non-T, non-B”細胞型に属するものが7例と大半を占めていた。自験例も“non-T, non-B”細胞型に属するが, モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検索により未熟B細胞に対応することが判明した。自験例やALLの研究成果などから, 小児皮膚悪性リンパ腫の主体をなす“non-T, non-B”細胞型は未熟B細胞に相当することが示唆される。
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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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