西日本皮膚科
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49 巻, 5 号
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図説
症例
  •  
    岩崎 雅, 塚本 宏太郎, 竹崎 伸一郎, 蒲原 孝, 島本 由紀子
    1987 年 49 巻 5 号 p. 783-788
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍細胞の性格が幹細胞とpre-preB細胞の中間の分化段階の細胞に対応する小児皮膚悪性リンパ腫(B cell lymphoma)の1例を報告した。症例は7才男児で, 初診5ヵ月前に右前額部を打撲後, 右前額部腫瘤に気づいた。腫瘤は徐々に増大した。組織学的には, 瀰漫性リンパ芽球型リンパ腫で, 免疫組織化学的検索より, 幹細胞とpre-preB細胞の間の未熟B細胞(Ia+, CALLA+, B4+, B1-, CIgm-)に相当することが明らかにされた。Stage II(Murphy分類)であつたが, 治療は修正LSA2L2プロトコールを施行し, 経過良好である。小児皮膚悪性リンパ腫の本邦報告例の多くは, 瀰漫性リンパ芽球型で, grenz zone陽性であつた。さらに, 腫瘍細胞性格が明示されている11例を再検討した結果, 従来の“non-T, non-B”細胞型に属するものが7例と大半を占めていた。自験例も“non-T, non-B”細胞型に属するが, モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検索により未熟B細胞に対応することが判明した。自験例やALLの研究成果などから, 小児皮膚悪性リンパ腫の主体をなす“non-T, non-B”細胞型は未熟B細胞に相当することが示唆される。
  • 久永 正穂, 津田 真五, 加治 英雅, 柳瀬 芳生
    1987 年 49 巻 5 号 p. 789-793
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    腎移植後, アザチオプリン, プレドニソロンの内服中に, 汎発性浅在性白癬と右下肢に白癬菌性肉芽腫を生じた25才男子の症例を報告した。浅在性白癬病巣, 爪および結節よりの膿汁, 組織片の培養からTrichophyton rubrumを分離しえた。ツベルクリン反応, 遅延型トリコフィチン反応とも陰性, DNCB感作不成立, OKT4/8比の低下など細胞性免疫能の低下がみられた。組織学的には皮下に少量の膿瘍を囲んで類上皮細胞, 巨細胞, 組織球, リンパ球, 形質細胞からなる肉芽腫がみられ, PAS染色にて膿瘍辺縁と肉芽腫内の巨細胞内外に菌要素を認めた。グリセオフルビンの内服4ヵ月にて略治した。本症例は典型的な汎発性白癬菌性肉芽腫とは少し異なつた臨床像を呈したため, 若干の考察を行つた。
  • 加藤 直子, 国分 一郎, 金子 史男, 大河原 章, 目黒 高志
    1987 年 49 巻 5 号 p. 794-800
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    Disseminated DLEとして発症し, SLEへの移行を示し急性膵炎を併発した1例を報告した。患者は41才女子, プレドニソロン60mg投与で加療中, 心窩部痛後, 急激な左腹部痛が出現した。検査上, 血清および尿アミラーゼの上昇がみられ, 腹部エコーおよびCTにより膵臓の腫大と腹腔内の浸出液を認めたことから急性膵炎と診断した。ただちに膵床ドレナージ術を施行したが回復せず死亡した。剖検所見から急性出血性膵炎, 急性多発性胃潰瘍, 肺アスペルギルス症, 肝細胞変性などが確認された。
  • 袋 秀平, 近藤 靖児, 川田 暁, 佐藤 吉昭, 藤原 美定, 比留間 政太郎, 岡村 理栄子, 儘田 晃, 中山 坦子
    1987 年 49 巻 5 号 p. 801-807
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    E群色素性乾皮症(以下XP)の3例を報告した。XP80TO(50才), XP81TO(42才), XP82TO(41才)のいずれも女子で, XP80TOの両親が従兄妹である以外血族結婚はない。いずれも5∼9才ごろに日焼けしやすいことに気づいた。XP80TO, 81TOはそれぞれ46才, 41才のときに顔面に皮膚腫瘍(basalioma)が発生し, 切除術を受けた。臨床的に露光部に粟粒大から大豆大までの色素斑, 脱色素斑を認めるが, 眼症状はみられない。一般臨床検査, 神経学的検査でも異常を認めない。光線テストで, 紫外線紅斑反応のピークはXP80TO, 81TOでは48時間後, XP82TOでは24時間後で, 最小紅斑量(MED)は全例に中等度の低下を認めた。培養線維芽細胞の不定期DNA合成は正常の40∼44%で, また254nm紫外線に対する患者由来細胞の致死感受性はn=1.3∼1.8, D0=2.2∼2.8J/m2であり, これらの値は正常人とA群XP患者の中間に位置した。相補性テストで3例ともE群と決定した。現在までに報告された本邦のE群患者例には血族結婚および皮膚腫瘍の発生はみられないが, 自験例で示されたごとく, 本邦例でも家系内同症や皮膚腫瘍について留意すべきであると考えた。
  • 三原 公彦, 和田 秀敏
    1987 年 49 巻 5 号 p. 808-811
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    1才10ヵ月女児。生下時より前頸正中部にオトガイ下部から輪状軟骨下部にかけて, 約4×1cmの紅色の浅い帯状陥凹, およびその頭側端に乳頭腫状の付肉(skin tab)が認められた。瘻孔や下層の索状物は認められず, 本邦ではきわめてまれな正中頸裂の典型例と思われた。病変部は下層の線維性組織を含めて切除し, submandibular-cervical angleと輪状軟骨下部の頸の横皺に一致する凹みがくるように, 二つのZ plastyを行つた。
  • 高橋 泰英, 斉藤 すみ, 池澤 善郎, 永井 隆吉, 木下 裕三
    1987 年 49 巻 5 号 p. 812-817
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    Etretinateを5年間にわたり, 合計29,140mg内服していた27才男子にみられた乏精子症の1例を報告した。精液検査で精子濃度5×104/ml以下, 運動率0%の重度乏精子症で, 睾丸生検では精祖細胞, 精母細胞の著明な減少, 基底膜の肥厚, Leydig細胞の増加がみられ, 成熟精子はほとんど認められなかつた。内分泌学的検査で異常は認められなかつた。内服中止8ヵ月後にも精子形成能の回復はみられなかつた。これまでモルモットを用いた試験においては, 可逆的精子形成能抑制の報告はあるが, ヒトにおける報告例はない。自験例は精索静脈瘤の合併もみられたが, 精索静脈瘤が左側にあるにもかかわらず, 睾丸の組織学的変化は右側でより強く, 乏精子症の原因としてはetretinateの可能性の方が強いと思われる。ヒトにおいてもetretinateにより精子形成能に異常をきたす危険があることを示す意味も含めてここに報告した。
  • 三田 哲郎, 安江 厚子, 須藤 千春
    1987 年 49 巻 5 号 p. 818-822
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    マダニ刺咬症の2例を報告するとともに, 本症について文献的考察を行つた。症例1はそう痒性皮疹で来院したが, 皮疹部には虫体を認めず, その後の調査でチマダニ属フタトゲチマダニの刺咬症と診断された。症例2は無症候性皮疹で来院し, 皮疹部に虫体を認め, マダニ属シェルツェマダニの刺咬症と診断された。自験例および既報告例につき検討したところ, 同じマダニ類刺咬症の中でもチマダニ属とマダニ属の刺咬症の臨床症状の間に差異があることが推察された。
  • 武下 泰三, 桐生 美麿, 坂田 泰士, 宮本 祐一
    1987 年 49 巻 5 号 p. 823-829
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    61才男子にみられた成人T細胞白血病(ATL)の1例を報告した。皮膚病変を伴つたくすぶり型ATLとして発症し, 17ヵ月後にリンパ腫型ATLへ急性転化した。皮膚病変は, くすぶり型ATLの時期には紅皮症, 浸潤性紅斑, 全身の糜爛と多彩であつたが, リンパ腫型ATLの時期には色素沈着を残すのみであつた。病期に応じてステロイド外用, ステロイド全身投与, αインターフェロン筋注およびVEPA療法を施行し, 部分寛解を得た。
  • —とくにその予後の考察—
    橋本 秀樹, 安斎 真一, 穂積 豊, 麻生 和雄
    1987 年 49 巻 5 号 p. 830-836
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    2例の転移性脂腺癌症例を報告した。症例1は76才女子, 左頬部の腫瘍を切除後, リンパ節転移から脳, 内臓への転移をきたし死亡した。症例2は82才女子, 左耳後部の腫瘍を切除後, 約1年の間隔で原発巣近傍に巨大な再発·転移巣を2度形成し, いずれも外科的に切除した。自験例を含めた本邦での脂腺癌報告60例中, 転移は30例, 再発は8例, 死亡は16例あり, 予後不良とされる眼瞼部のマイボーム腺癌と同様に, 皮脂腺由来の脂腺癌も悪性度の高い腫瘍であると考えられた。
  • 一木 幹生, 蜂須賀 裕志, 笹井 陽一郎
    1987 年 49 巻 5 号 p. 837-840
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    尿道狭窄を併発した軽症汎発性萎縮型表皮水疱症の1例を報告した。症例は27才男子で, 生後間もなくより全身に水疱が出没し, しだいに爪変形や嗄声をきたし, またときに排尿困難がみられた。水疱はときに萎縮性局面をのこすが, 瘢痕や稗粒腫をのこさない。病理組織学的には水疱は表皮下に存し, 電顕的には基底細胞の細胞膜と基底板との間にみられた。尿道造影および尿道鏡による検索では後部尿道に狭窄および糜爛をみとめ, 喉頭ファイバースコープにより喉頭横隔膜症が観察された。
  •  
    寺尾 祐一, 浅井 芳江, 濱田 稔夫
    1987 年 49 巻 5 号 p. 841-846
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    69才男子の右大腿部後面に発生したtrichoblastic fibromaを報告した。組織学的には真皮に存在する楕円形の結節で, 表皮との連続性は認められず, fibrousな間質の中にbasaloid cellの胞巣が埋まつている。胞巣の一部からprimary epithelial germ様の突起が出ているものや, basaloid cellの索状構造が観察された。本腫瘍では, keratotic basal cell epitheliomaやsolitary trichoepitheliomaとの鑑別が問題となる。前者では増殖がより速く, しかも潰瘍形成を示し, basaloid cellは表皮と一部連続しており, 炎症性細胞浸潤を伴う間質との間に裂隙を形成する。全体として組織破壊的な増殖を示す。後者では, 表皮との一部連続性があり, よく発達した多数の角質嚢腫が存在し, basaloid cellの索状構造の末端はinvaginationを示し未熟な毛乳頭が存在する。以上の点で鑑別されうるが, 毛包への分化の程度からすればkeratotic basal cell epitheliomaとsolitary trichoepitheliomaの中間に位置する独立した腫瘍と考えられる。
研究
  • —ヘアレスマウスにおける実験的プロトポルフィリン症誘発の試み—
    山下 和徳
    1987 年 49 巻 5 号 p. 847-852
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    0.5% griseofulvin含有飼料でHos: hairless HR/De系マウスを53日から121日間(平均77.8日間)飼育すると赤血球および肝臓組織内ポルフィリン体が著しく増加し, 実験的プロトポルフィリン症を誘発せしめうることが明らかとなつた。これらのプロトポルフィリン症マウスにmetal halide lampを用いて, 400nm付近の紫外線を照射したところ, 紅斑, 浮腫, 水疱, 痂皮形成などの急性炎症反応の発現をみた。今回の経験から, ヘアレスマウスもポルフィリン症のモデルとなりうることが明らかとなり, さらに有毛マウスより光線照射を伴う実験が施行しやすく, 皮膚所見の観察にきわめて有利であることが明らかとなつた。
  • 高瀬 孝子, 上野 賢一, 長谷川 篤彦
    1987 年 49 巻 5 号 p. 853-857
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    Mariat(1971)の報告以来Sporothrix schenckiiとの異同が論じられているCeratocystis stenocerasの微細形態を観察した。子嚢果は細長い頸部と直径100∼200μmの球形を呈する基部からなり, その表面は菌糸に囲まれていた。また子嚢果の殼壁には細胞壁の薄い細胞と脂肪顆粒を豊富に含む細胞壁の厚い細胞の2種が認められた。基部の割断面にみた子嚢胞子は長径1∼2μm, そら豆形であつた。分生子世代はS. schenckiiのそれと同様で, 分生子形成法はsympodialで, 1∼1.5μm幅の菌糸に長径2∼3μmの楕円形の分生子が認められた。
  • 三上 幸子, 三上 英樹, 橋本 功
    1987 年 49 巻 5 号 p. 858-863
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    正常ヒト皮膚および種々の皮膚疾患におけるinvolucrinの組織学的局在を免疫peroxidase法にて検索した。正常表皮では有棘層上層から顆粒層にかけて均一に陽性, 付属器では毛包漏斗部, 峡部, 内毛根鞘, 脂腺導管が陽性を示した。各種疾患では, 基底細胞様細胞の増殖性疾患(脂漏性角化症, 老人性角化症, 基底細胞上皮腫)は陰性, 有棘細胞ないし有棘細胞様細胞の増殖性疾患(尋常乾癬, 扁平苔癬, ケラトアカントーマ, Bowen病, 有棘細胞癌)は陽性であり, involucrinの局在により明瞭に区別された。染色態度は良性増殖性の尋常乾癬, ケラトアカントーマが均一であるのに対し, 悪性のBowen病, 有棘細胞癌では, 染色性の異なる細胞が混在するパッチワーク状を呈し, 良性と悪性の鑑別に際して有用と思われた。扁平苔癬と老人性角化症の表皮は顆粒状を呈し, その機序として基底細胞の障害が関与するものと考えられた。
  • —統計による観察—
    洲脇 正雄, 広畑 衛
    1987 年 49 巻 5 号 p. 864-870
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    三豊総合病院で維持透析を受けている患者のべ69名を対象にそう痒の有無, 透析年数, 血中BUN, クレアチニン, 赤血球数, 好酸球%, 血清Ca, P, 尿酸, カルシトニン, PTH-C末端値, ヒスタミン固定能, ダイアライザーについて調査し, 比較検討した。
    1) 昭和59年度の調査では79.2%にそう痒がみられたのに対し, 昭和61年度では62.9%で減少傾向がみられた。
    2) 血清尿酸値のみそう痒群が非そう痒群に比べ有意に高く(危険率5%), ほかの因子には差がみられないことより, 尿毒症性そう痒症に高尿酸血症が関与していることがうかがわれた。
  • 麻生 和雄
    1987 年 49 巻 5 号 p. 871-876
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    角層ケラチン(67-65Kdとそのペアケラチン, 仮称)はsuprabasalの棘細胞で生成され, トノフィラメントケラチン線維とともに角層線維を形成するケラチンである。その分子中のV domainの特異なアミノ酸配列による2次構造で角層の機能に即した線維を構成している。最近のケラチン分子生物学の知見から, 角層ケラチンの分子構造, 鎖線維形成についてのべ, 優性, 劣性遺伝性掌蹠角化症で観察された角層ケラチンの異常とそれについて関連した病態, レチノイドの効果について報告する。
講座
統計
  • 武 信昭, 大串 康之, 末永 義則
    1987 年 49 巻 5 号 p. 884-889
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    産業医科大学病院開院以来, 7年間に皮膚科を受診した症例のうち, 生検で組織診断のついた顔面の単発性腫瘤について統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
    (1) 総数693例のうち, 色素性母斑, 脂漏性角化症, 粉瘤の3疾患が半数以上を占めた。
    (2) 脂漏性角化症は額部, 眼周囲部, 頬部に多く, 基底細胞癌は眼周囲部, 鼻部, 口唇·口周囲部のような顔面の中心に多く分布していた。
    (3) 色素性母斑, 老人性角化症は女子に多く, 脂漏性角化症は男子に多かつた。
    (4) 脂漏性角化症は60才代を中心に, ほとんどが40才以上であつた。
    (5) 基底細胞癌, 有棘細胞癌, 老人性角化症は高令者に多かつた。
  • 杉原 久美子, 出来尾 哲, 地土井 襄璽, 東儀 君子, 川崎 洋司, 佐々木 學, 石本 多佳子, 小池 俊一, 今岡 千治
    1987 年 49 巻 5 号 p. 890-897
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    昭和54年10月15日から昭和59年10月14日までの5年間に島根医科大学附属病院皮膚科を受診したウイルス性皮膚疾患患者について統計的検索を行つた。この間のウイルス性皮膚疾患症例は869例で, 外来患者総数の9.0%を占めていた。伝染性疣贅291例(33.49%), 帯状疱疹212例(24.40%), 単純疱疹134例(15.42%), 伝染性軟属腫114例(13.12%), 水痘34例(3.91%), 風疹25例(2.88%), 手足口病24例(2.76%), 伝染性紅斑8例(0.92%), カポシ水痘様発疹症7例(0.81%), 突発性発疹症3例(0.35%), ジアノッティ病および症候群2例(0.23%), 麻疹1例(0.12%), その他14例(1.62%)であつた。
治療
  • 西岡 和恵, 金子 信幸, 小笠原 万里枝, 太田 貴久
    1987 年 49 巻 5 号 p. 898-901
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    健康成人男子20人において, インドメタシンクリームの抗炎症作用によるサンバーン抑制効果を, ステロイド外用剤である吉草酸ベタメタゾンクリームと比較するとともに, 紫外線遮断剤として強いサンバーン防御作用を有することが知られているパラアミノ安息香酸液による抑制効果とも比較検討した。UVB照射時のMED, および浮腫を伴つた紅斑を発生する最小の紫外線照射量を検討したところ, その紫外線紅斑発生の抑制効果は, パラアミノ安息香酸が卓越しており, ついでインドメタシンクリーム, 吉草酸ベタメタゾンクリームの順であり, 浮腫を伴つた紅斑の発生を抑制する面では, インドメタシンクリームは吉草酸ベタメタゾンクリームにくらべ優れていることがうかがわれた。ステロイド外用剤使用による副作用発現の可能性も考慮にいれると, サンバーンにおいてはインドメタシン外用の方が, ステロイド外用よりも適切な治療と考えられた。
  • Ro22-8181皮膚科研究会
    1987 年 49 巻 5 号 p. 902-911
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹に対するRo22-8181の有効性, 安全性および有用性を検討するため, ヒト血清アルブミンを対照薬として, 二重盲検比較試験を行つた。皮膚症状の観察項目別の改善率では, 水疱·膿疱において投与開始後5日目でRo22-8181群70%, placebo群50%で, 両群間に差(p<0.05)が認められた。皮膚症状改善度の推移を著明改善以上の症例についてみると, 投与開始後4日目の著明改善率はRo22-8181群8%, placebo群0%であり, Fisherの直接計算法で両群間に差(p<0.05)が認められた。また, 投与開始後5日目の著明改善率はRo22-8181群15%, placebo群3%であり, κ2 検定で両群間に差(p<0.05)が認められた。主治医による有効性の判定ではU検定でRo22-8181群が優れている傾向が認められた。主治医による安全性の判定では副作用発現率がRo22-8181群83%, placebo群14%であり, U検定で両群間に差(p<0.001)が認められた。主治医による有用性の判定ではU検定で両群間に差は認められなかつた。以上の結果より, 帯状疱疹に対し, Ro22-8181は皮疹のうち水疱·膿疱に対して有効であり, 主治医判定でも有効性が認められたが, 安全性については本薬剤の耐薬性が示されたものの副作用の発現率が高かつたため, 有用性は高くないと考えられた。
  • 小笠原 万里枝, 西岡 和恵, 久本 和夫, 山田 健一
    1987 年 49 巻 5 号 p. 912-914
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹患者10例にビダラビン(9-β-D-arabinofuranosyladenine, アラセナA)を投与し, その有効性および副作用について検討した。
    (1) アラセナA 300mgを1日1∼2回, 3∼5日間点滴静注した。有効性は皮疹の改善度と疼痛の消失から判定した。
    (2) 皮疹発生前の紅斑の消失時期は投与開始後1∼8日目であつた。水痘·膿疱の痂皮化完了の時期は投与開始後5∼19日目であつた。疼痛の消失は10例中9例にみられた。
    (3) 副作用は全例に認められなかつた。
    今回の治療経験から, 帯状疱疹にアラセナA300mgを1日1∼2回, 5日間発病早期に投与することは, 安全かつ有効な治療法であると考えられた。
  • —塩酸ジルチアゼムを用いて—
    古井 良彦
    1987 年 49 巻 5 号 p. 915-918
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    凍瘡は日常しばしば遭遇する疾患であるが, きめてになるような治療法は現在みつかつていない。Ca拮抗剤(塩酸ジルチアゼム)の末梢血管と血液性状に対する作用に注目し, 凍瘡の治療に有効ではないかと考えた。凍瘡患者42例に塩酸ジルチアゼム(Herbesser)1日量10∼120mg(分1∼分4)を連日投与し, 投与前後の臨床症状の改善, 血圧·脈拍の変動, 皮膚温の変化(ノバサーモNT-108型を使用), 組織学的変化を調べた。全例1ヵ月以内に治癒し, 副作用は1例も認められなかつた。また凍瘡の病態生理についても若干の検討を加えた。なお, 凍瘡治療にCa拮抗剤を用いた報告はこれが最初である。
  • 「間宮」アロエ軟膏臨床評価研究班
    1987 年 49 巻 5 号 p. 919-926
    発行日: 1987/10/01
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル 認証あり
    5施設が協力して, 熱傷49例, 凍瘡67例, 小規模の創傷11例, 皸裂や乾皮症を中心とした湿疹·皮膚炎群110例, 白癬の足の皸裂など皮膚感染症11例, 合計248例の皮膚疾患に, 2.5%「間宮」アロエ軟膏(以下アロエ軟膏と略す)を1日1回貼付して, その効果, 有用率, 副作用を検討した。その結果, I∼III度, 面積10%以下の熱傷において有効率95.9%, 有用率98.0%, 凍瘡においては有効率86.8%, 有用率92.5%と満足すべき成果をえた。とくに熱傷では平均日数11.7日できれいな創のなおり方を示し, よい適応と考えられた。凍瘡の治療にはより長い日数を要したが, 白色ワセリンとの優劣比較で13対0ですぐれ(同等は31例), t検定で有意差があつた。創傷と皮膚感染症の群では, 有効率それぞれ72.8%と81.8%, 有用率は両者とも90.9%と同じ値を示し, 十分に有用であると考えられた。これら4疾患群の全症例138例において, アロエ軟膏外用の副作用は1例もみられなかつた。これに対して, 湿疹·皮膚炎群の皸裂や乾皮症に用いた場合は, 効果は比較的低かつたが, それでも有効率55.5%, 有用率77.3%で, 不適合による副作用(皮膚炎)は3例にみられた。アロエ軟膏はパラベン, 抗生物質, ステロイドを含まないが, 有効率, 有用率の高い点は大きなメリットと思われる。
世界の皮膚科学者
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