西日本皮膚科
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症例
多発性毛包性ムチン沈着症
—組織化学的·電顕的観察—
茶之木 美也子石井 正光濱田 稔夫
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1988 年 50 巻 1 号 p. 63-69

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抄録
全身に多発性の紅斑性浸潤局面からなる皮疹がみられた特発性の毛包性ムチン沈着症を報告した。光顕では, 毛包·脂腺は浮腫状, 嚢腫状を呈し, 上皮細胞は星芒状になり互いに離開していた。毛包および脂腺部と真皮上層の離開したコラーゲン束間に, コロイド鉄染色, アルシャンブルー染色, ムチカルミン染色で陽性, トルイジンブルー染色で異染性を示す物質の沈着を認めた。毛包とその周囲には, 炎症性細胞の浸潤があり, PAP法でS100蛋白陽性細胞を数多く認めた。電顕では, 同部にrERの発達した毛包性上皮細胞と蛋白物質をいれた小胞体をもつランゲルハンス細胞が観察され, 毛包性上皮細胞によるムチン分泌と免疫学的異常がこの疾患の成因にかかわりがあると考えられた。
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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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