西日本皮膚科
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症例
高グロブリン血症を伴つた皮膚アミロイドーシス
 
黒田 真臣片桐 一元板見 智高安 進
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1988 年 50 巻 4 号 p. 671-674

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抄録

単クローン性高グロブリン血症を合併したアミロイド苔癬の1例を報告した。患者は78才男子, 約5年前より四肢伸側·腰臀部にそう痒性角化性丘疹が出現した。検査所見にて高IgG血症, 高IgA血症, 蛋白分画像にてM蛋白帯出現, 免疫電気泳動にてIgG κ type, IgA κ typeのM蛋白がみられたが, 骨髄穿刺では異型細胞は認めなかつた。組織学的に真皮乳頭部および真皮上層にダイロン染色陽性物質がみられたが, 真皮の小血管·直腸粘膜には認められなかつた。真皮アミロイド塊に一致して, DACM法によるS-S結合染色および抗ケラチン抗体染色ともに陽性所見を示した。以上の所見より, 本症例は現時点では, 原発性アミロイドーシスの一つであるアミロイド苔癬と良性単クローン性高γ-グロブリン血症の共存例と考えられた。治療は, 副腎皮質ホルモン剤外用にて効果を認めないため, 外科的に皮疹の切除を行つた。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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