西日本皮膚科
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症例
Interferon-γおよびβ局注療法を試みた汎発性疣贅症
飯島 茂子佐久間 満里子馬場 徹上野 賢一
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ジャーナル 認証あり

1990 年 52 巻 1 号 p. 42-48

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抄録

手足の疣贅様皮疹を主訴とし, 免疫能低下を伴う26才男子例を経験した。抗HPV抗体によるPAP法にて陽性所見を得, southern blot hybridization法にてHPV-2b型と判定し, 汎発性疣贅症(generalized verrucosis)と診断した。自験例にIFN-γ, IFN-β局注療法を試みたところ, IFN-γでは局注6回目頃より扁平化し, 9回でほぼ消失した。一方, IFN-βでは9回終了時ごくわずかな扁平化を呈するに過ぎなかつた。抗HLA-DR抗体を使つたABC法にて, IFN-γ局注部は表皮全体に強い陽性所見を認めたが, IFN-β局注部では表皮下層の一部にのみ陽性所見をみた。今までのわれわれの報告によれば, IFN-βは尋常性疣贅に対し98%の有効率をもつ。自験例の対照として免疫能正常の疣贅患者4例に同様な局注療法を行つたが, IFN-βとIFN-γは同様に有効で明らかな差異は認められなかつた。自験例においてはIFN-βの反応性の低下が示唆されたがIFN-β活性阻害因子の存在は認められなかつた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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