西日本皮膚科
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研究
長崎原爆被爆者における皮膚癌
第1報. 皮膚培養細胞の染色体異常
貞森 直樹本田 武夫堀 真野田 好矩西野 冽子藤原 直子貞森 道子
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1990 年 52 巻 1 号 p. 65-70

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抄録

長崎原爆被爆者における皮膚に対する原爆放射線の影響を観察する一つの方法として, 皮膚培養細胞の染色体検索を実施した。対照群としての非被爆者の皮膚培養細胞からはほとんど染色体異常は観察されなかつたが, 有意の放射線を浴びたと考えられる被爆者の皮膚培養細胞中には, 原爆被曝から40年余を経た現在もなお, 放射線に起因すると考えられる染色体異常が観察された。染色体異常率は推定被曝線量の多い被爆者に高率に認められ, これらの異常細胞の中には同一の異常核型を有するクローン形成も観察される。これらの事実は, 原爆被爆者のなかでも高線量被曝者の皮膚細胞には相当なDNA障害が生じ, それらの細胞がクローン増殖していることを意味している。このことはまた, 今後早急に被曝者における皮膚癌発生率の疫学調査が必要であることを示唆している。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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