西日本皮膚科
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症例
胃癌を合併した皮膚筋炎
—過去12年間に日本病理剖検輯報に記載された皮膚筋炎·多発性筋炎症例における悪性腫瘍合併の検討を加えて—
夏目 妙千見寺 ひろみ鈴木 一郎高澤 博
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1990 年 52 巻 2 号 p. 231-236

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抄録

61才女子, 胃癌を合併した皮膚筋炎の1例を報告した。日光照射部の紅斑浮腫性変化と筋力低下に加えて, Borrmann 2型胃癌を認めた。ステロイドの使用, 癌腫の摘出により皮疹は軽快し, CPKも正常範囲内となつたが, 筋力の改善はなかつた。約7ヵ月後, 癌の再発および広範な転移により死亡した。しかしこのときもとくに皮疹に増悪はなかつた。また, 日本病理剖検輯報(1975年∼1986年)に記載された皮膚筋炎·多発性筋炎症例における悪性腫瘍合併につき検討した。集め得た615例中悪性腫瘍合併は163例(26.5%), そのうち男性の合併率は35.1%, 女性20.6%で男性に合併が多くみられた。皮膚筋炎383例のうち悪性腫瘍合併は117例(合併率30.5%), 多発性筋炎232例中合併は46例(同19.8%)であつた。合併腫瘍としては胃癌が49例と最も多く, 全体の27.8%であつた。しかし, この値は既報告値に比し低く, 一方肺癌, 甲状腺癌, 卵巣癌の合併が増加している傾向がみられた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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