抄録
昭和34年より62年までの29年間に, 当教室で経験した日光角化症59例, 69個について, その病理組織型と間質の弾力線維の変性の度合いとの関連性を検討した。また対照群として, 顔面に生じた脂漏性角化症25例の弾力線維変性とも比較, 検討した。その結果, 日光角化症は対照に比べ弾力線維の著明な変性がみられ, その変性の程度を病理組織型別にみると, 肥大型では皮疹部に弱く, 周辺部に強かつたが, 萎縮型では皮疹部, 周辺部ともに強い変性がみられた。以上より, 日光角化症の発生には太陽光線への曝露がきわめて重要な外因と思われること, 一方その発症には個体側のなんらかの因子も関与していること, さらに弾力線維の変性は回復する可能性のあることなどが示唆された。