1991 年 53 巻 1 号 p. 41-45
小指頭大の褐色, 表面粗ぞうなやや隆起した局面より生じた広基性の紅色腫瘤を光顕的, 電顕的, 免疫·酵素組織化学的に検討し, eccrine porocarcinomaと診断した。光学顕微鏡下では低分化型の扁平上皮癌との鑑別は困難であつたが, 電顕的観察でtight junction, microvilliを持つintercellular canaliculiの存在が認められ, また免疫·酵素組織化学的所見において, CEA一部陽性, EMA陽性, KL-1一部陽性, succinic dehydrogenase陽性, β-glucuronidase陰性, ジアスターゼ消化性PAS陽性であつた。EMAはeccrine poromaで陽性所見を示すことが報告されているが, eccrine porocarcinomaにおいても陽性所見が認められ, 本症診断上の有用な指標となると考えた。