西日本皮膚科
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研究
経皮酸素分圧計測値におよぼす角質層の影響
滝脇 弘嗣大浦 一宇都宮 正裕神野 義行荒瀬 誠治重見 文雄
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1991 年 53 巻 1 号 p. 65-69

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抄録
前腕と手掌における経皮酸素分圧(tcPo2, 44℃加温)および阻血時のtcPo2下降速度を検討し, 前腕内側でそれぞれ平均72.3mmHg, 42.2mmHg/min, 小指球で25.6mmHg, 5.6mmHg/minと部位的差異が顕著であつた。前腕に代用角層を貼付し測定すると両値ともに減じ, 手掌では角層を除去すると前腕内側とほぼ同じ値を示した。一方, 44℃での血流は手掌がより高値であつた。上記の成績から, tcPo2測定部位に厚い角層が介在するとtcPo2とその下降速度に見かけ上の低下がみられると判断し, その原因は, 角層の酸素拡散に対する抵抗の大きさと, 電極での酸素消費にあると考えた。tcPo2モニタを皮膚科あるいは整形外科領域で応用する際には, 測定部位の角層の厚さと性状に留意する必要がある。
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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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