西日本皮膚科
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症例
皮膚試験で汎発疹が誘発された薬疹の7例
斎藤 すみ池澤 善郎大沢 純子内藤 静夫相原 道子吉田 貞夫宮本 秀明
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1991 年 53 巻 4 号 p. 705-712

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抄録

薬疹が疑われ, その原因薬剤同定のために施行した皮内試験により, 汎発疹が惹起された7症例を経験した。症例の平均年齢は約45歳(20∼60歳), 全例が女子であった。原因薬剤は7例中6例が抗生物質であり, そのうち4例がペニシリン系で, 残りはセフェム系とマクロライド系が1例ずつであった。初発時の薬疹の発疹型は, 紅皮症型が4例, 紅斑丘疹型が1例, 多形紅斑型が1例, 蕁麻疹型と多形紅斑型のoverlap型が1例であった。全身症状が激しく, 発熱を伴う症例は7例中4例であり, その4例中3例に明らかな白血球増多がみられた。皮内試験により初発時の薬疹と同様の皮疹がほぼ全身に誘発され, 血液検査された2症例では再度白血球増多が認められた。なおoverlap型では, 皮内試験の回数を重ねるうちに, 3回目にアナフィラキシーショック症状を呈した。皮内試験で誘発された汎発疹が出現してくるまでの時間は, ショック症状を呈する場合を除くと, 多くは数時間であり, 時に24∼48時間に及んだ。また貼布試験は, ICDRGで(+)?の1例をも加えると, 全例が陽性であった。以上より, 初発時の汎発疹から強力な薬剤アレルギーの関与が疑われた場合, とくに紅皮症型や蕁麻疹型, あるいは発熱や白血球増多を伴う場合の皮内試験は, 強い全身反応を惹起することがあるので注意を要する。このような場合, まず貼布試験から実施すべきであり, また皮内試験の際には, 必ず低濃度の試験薬剤から慎重に実施すべきである。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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