抄録
1. アトピー性皮膚炎, あるいはアトピー性皮膚炎を基礎疾患にもち, 接触皮膚炎や貨幣状湿疹などの他の湿疹, 皮膚炎を合併した患者20例を対象とし, 塩酸アゼラスチンを原則として1日2mg, 4週間以上投与し, その有効性, 有用性を検討した。結果は最終全般改善度, 有用性ともに75.0%であった。副作用は3例にみられ, その内訳は眠気, 倦怠感, 味覚異常であった。いずれも軽度∼中等度で薬剤の減量ないし中止で症状は速やかに消失した。
2. 塩酸アゼラスチン投与前の13例の患者について血中のロイコトリエン(LT)値およびヒスタミン値を測定した。LTB4値が特に高値を示した症例が4例あったが, ヒスタミン値はすべて正常人の上限値以内であった。LTB4の高値とIgE値との相関は認めなかった。上記4例中2例は治療後の症状の改善とともにLTB4値は速やかに低値となった。また治療前は正常範囲であったものが, 治療の中断で症状が高度となった2症例にLTB4の高値が認められた。