西日本皮膚科
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統計
当科における帯状疱疹患者の統計学的観察
—帯状疱疹後神経痛について—
飯田 真由美古田 剛深谷 元継長谷川 順一岩瀬 悦子松田 俊樹安積 輝夫
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1991 年 53 巻 5 号 p. 1012-1022

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抄録
昭和62年9月∼昭和63年11月までの期間に当科を受診した帯状疱疹患者は106人であった。罹患後1年以上経った時点での帯状疱疹後神経痛の有無について, アンケート調査を実施した。回答が得られた93人中罹患後2週間以内に受診した85人について検討し次の結果を得た。
(1) 1年以上経過した時点での帯状疱疹後神経痛の完治率は89.4%で, 治療を要しない略治者を加えた完治略治率は96.5%で, 残りの3.5%が要治療者であった。
(2) 高齢者ほど, また皮疹重症例ほど完治略治率は低い傾向を認めたがχ2検定で有意差はなかった。
(3) 抗ウイルス剤使用例においては発病4日以内に使用した症例の完治略治率は, アシクロビル例, ビダラビン例ともに100%で, 発病5日以後使用症例の完治略治率は, アシクロビル例で94.3%, ビダラビン例は100%であった。なおアシクロビル4日以内使用者と5日以後使用者の残存率にχ2検定で有意差(p<0.05)があった。
(4) Post-herpetic neuralgia(PHN)の長期残存率 (6ヵ月以上) をみると神経ブロックは, たとえ早期に実施しても非実施の最近の報告例と比較して, 必ずしも有効でないことを論及した。
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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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