西日本皮膚科
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研究
陰茎縫線部嚢腫とアポクリン腺嚢腫との病理組織学的, 免疫組織化学的比較検討
勝俣 道夫江副 和彦
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1992 年 54 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

陰茎縫線部嚢腫の中で, 立方ないし円柱上皮よりなる病変とアポクリン腺嚢腫は, その発生部位を考慮にいれない場合でも, 病理組織学的に両者の鑑別は可能であるとした論文もあるが, 実際には互いの所見が類似し, 鑑別に苦慮する腫瘍と考えられる。今回著者らは立方ないし円柱上皮よりなる陰茎縫線部嚢腫6例とアポクリン腺嚢腫3例を病理組織学的, 免疫組織化学的に比較し, 以下の結果を得た。PAS, 消化PAS, アルシアンブルー各染色とABC法により, CEA, S100蛋白の検索を行った標本ではこの両者間に相違はなく, この両腫瘍の組織像でやや異なる点として, HE染色でアポクリン腺嚢腫では立方形から高円柱状の細胞の内腔側の細胞質が好酸性に強く染色されたのに対し, 陰茎縫線部嚢腫の同様の細胞は細胞質が均一に染色された点があげられた。この両腫瘍間の最大の相違点はリゾチームの検索結果で, 陰茎縫線部嚢腫では嚢腫壁に陽性所見が認められないのに対し, アポクリン腺嚢腫では立方形から高円柱状の細胞の内腔側および一部の細胞の細胞質内に陽性所見が認められ, 抗体の入手が容易で, どの施設においても検索が可能なリゾチームの検索を試みることは, この両腫瘍の鑑別に有用と考えられた。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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