西日本皮膚科
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症例
右上腕皮膚に生じたAIDS-Associated Kaposi’s Sarcoma
矢野 貴彦篠田 勧大黒 久和大越 裕章林 雄三高田 昇
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1993 年 55 巻 5 号 p. 861-865

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抄録

38歳, 白人男子。平成3年2月頃より下痢が続くため当院内科を受診。血沈亢進, CRP陽性, 便潜血が持続するためクローン病が疑われたが, 内視鏡検査にもかかわらず病変の断定はできなかった。平成3年8月頃から, 右上腕伸側に小豆大の紫紅色の辺縁やや不整な斑が出現し, 徐々に増大して指頭大となったため精査希望で当科を受診した。病変部の生検が行われ, 真皮に大小の血管腔の形成と, その周囲のやや紡錘形の細胞の増生からなる不規則な血管増殖巣が散在する所見を得て, Kaposi’s sarcomaが強く考えられた。本人の承諾を得てHIV抗体価をPA法で測定したところ, 4096倍陽性であった。ウェスタンブロット法を行い陽性を確認した。以上の所見よりAIDS-associated Kaposi’s sarcomaと診断した。AZT, IFN-αなどを用いて治療中である。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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