抄録
von Recklinghausen病(neurofibromatosis)の神経線維腫には血管内皮細胞以外にマクロファージに一致して塩基性線維芽細胞増殖因子の局在が観察された。本増殖因子の神経線維腫増殖への関与の作用メカニズムを検討する目的で癌遺伝子c-fosが本腫瘍に発現されているかどうかを抗c-fos抗体を用いて免疫螢光染色法にて観察した。その結果, 腫瘍巣および腫瘍辺縁の間質に核が強陽性に染色される細胞が多数観察された。本腫瘍における癌遺伝子c-fosの発現の意義は現時点では不明であるが, 神経線維腫細胞の分化, 増殖に何らかの関与があるものと推測された。