1994 年 56 巻 3 号 p. 445-449
40歳の男性。全身諸処に有痛性の丘疹および周辺堤防状に隆起する暗紅色結節が散在, 一部では虫喰い状の潰瘍となり排膿を認めた。生検組織像では, 表皮はpseudoepitheliomatous hyperplasiaを示し, 真皮では膿瘍形成を伴う多数の好中球浸潤を主体とする肉芽腫形成を認めた。細菌培養では無菌性のことが多かったが, 時に二次感染としてS. epidermidis, S. aureus, E. faecalisが検出された。抗酸菌培養および真菌培養は陰性, 白血球減少, 単球増加, 好中球機能低下を認め, 骨髄像より慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)と判明。CMMoLによる好中球機能低下を基盤とした壊疽性膿皮症と診断した。ミノサイクリンは皮疹に対してある程度有効であったが, 他の抗菌剤は無効。プレドニゾロンは用量依存性に奏効し, 皮疹は瘢痕治癒するものもあり, 自潰して潰瘍となることは抑制できた。しかし糖尿病の合併により, 充分量投与できなかったため, 新しい結節の出現を完全には抑制できなかった。G-CSFを投与するも, 汎血球減少症および皮疹は改善されず, 肺炎を併発して死亡した。