西日本皮膚科
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研究
皮膚腫瘍における仁形成体領域(NOR)の検討
矢野 延子
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1995 年 57 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

仁形成体領域(NOR)の数と大きさが細胞の増殖や形質転換を反映しているといわれているので, 銀コロイド法(AgNOR)を用いて皮膚腫瘍について検討を行った。有棘細胞癌6例, ボーエン病6例, 老人性角化症5例, 基底細胞上皮腫6例, 脂漏性角化症4例, ケラトアカントーマ5例を対象とした。観察は顕微鏡下での直接鏡検, ならびに画像解析装置による測定である。その結果直接鏡検では, ボーエン病, 有棘細胞癌, 基底細胞上皮腫, ケラトアカントーマにおいてAgNOR数が多く, 特に有棘細胞癌においてはAgNORの大小不同, 形状不整が目についた。画像解析装置を用いると有棘細胞癌において数および面積が大で, これに次ぐのは老人性角化症, ボーエン病であった。ケラトアカントーマでは, 数は少ないが個々のものは均一且つ大型で, 面積では有棘細胞癌に次いだ。基底細胞上皮腫は, 直接鏡検での数は多かったが, 解析装置による値は小さかった。以上から顕微鏡下での直接鏡検および画像解析装置による数ならびに面積の結果を勘案することにより, 増殖後および悪性度の判断は或程度可能と考える。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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