西日本皮膚科
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治療
SNK-863軟膏の難治性皮膚潰瘍に対する臨床評価
SNK-863九州地区研究班
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1995 年 57 巻 2 号 p. 345-356

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抄録

創傷治療剤SNK-863軟膏はClostridium perfringensより製した細胞増殖促進作用を有する物質を含有する肉芽形成および表皮形成の促進を目的とした軟膏剤である。今回難治性皮膚潰瘍に対するSNK-863軟膏の長期間使用における有効性, 安全性を検討するため九州地区16施設で多施設共同のオープン試験を実施し, 次のような成績を得た。1)試験導入症例は65例で, 使用期間が4週(18日)未満の治癒症例4例, 中止症例3例を除外とし, 他の58例を解析対象とした。2)褥瘡(43.9%), 下腿潰瘍(14.0%)が主たる対象で, 高齢者(65歳以上)が約5割を占め, 重症および中等症例の難治性皮膚潰瘍が選択されていた。3)最終全般改善度の著明改善率は66.7%, 改善以上の改善率は78.9%であった。また解析対象症例58例中28例(48.3%)が治癒に至った。難治性皮膚潰瘍を対象としたにもかかわらず, 導入された症例の約半数が治癒に至ったことは, SNK-863軟膏の有効性を強く示唆する成績と考えられた。4)副作用については刺激感, 潰瘍周囲の発赤·疼痛, 潰瘍周囲の発赤·痒みを3例5件に認めたが, いずれも使用中止により消失した。全身性の副作用は発現せず, 使用部に発現した副作用は使用中止により消失したことから, SNK-863軟膏の安全性に問題がないと考えられた。以上の成績からSNK-863軟膏は難治性皮膚潰瘍に対して有用な治療薬であると考えられた。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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